東京ゲームショウ2018の開催に際して行われた、ソニー・インタラクティブエンタテインメント 日本ビジネスオペレーション部門SVP 兼 部門長の織田博之氏へのメディア合同インタビューをお届けする。
9月19日に突如として発表され、大きな反響を呼んだ「プレイステーション クラシック」(以下、PSクラシック)。その翌日となる9月20日、東京ゲームショウ2018のプレイステーションブースでの本体お披露目とともに、PlayStation Plus(以下、PS Plus)加入者限定での抽選先行予約の申し込み受付を開始した。
それを受けて、織田博之氏へのメディア合同でのインタビューが実施された。ここでは、PSクラシックに関する話題に留まらず、日本国内におけるプレイステーション関連の今後の展望が垣間見える発言も随所に見られる内容となっていた。
――PSクラシックですが、海外版と日本版で内蔵ソフトは変わってくるのでしょうか?
織田氏:今日はすべてのタイトルを紹介できませんでしたが、多少内容は変わっています。残り15タイトルは発表していませんので、追って発表したいと思います。
――今回の20タイトルはどういう基準で選定されたのでしょうか?
織田氏:プレイステーションの初号機ということで、人気が高くたくさんファンがいて、プレイステーションを代表するような作品を厳選して準備しました。
――PSクラシックについて日本や世界で予定されている出荷数を教えてください。
織田氏:限定販売ということで、数量を限らせた販売となっております。台数は非公開とさせていただきます。
――日本のファンとしては、どの程度手に取れるか気になるところですが。
織田氏:たくさんの方に遊んでいただけるように数は準備しています。昨日発表させていただいてから、予想を超えた反響を頂いておりますので、そういった点を踏まえて抽選の上販売させていただきます。
――転売問題を懸念している人もいると思いますが、対策は?
織田氏:先行予約についてはPS Plusのメンバーに限定して抽選とさせていただいております。PS Plusの会員ナンバーが抽選の条件になっております。基本的には一人に1台になると思います。
――店舗の販売はされないのでしょうか?
織田氏:店舗の販売については追って発表させていただきます。また、販売店様の方で転売を防ぐ施策を考えていると思いますので、そちらに関しては販売店様にお聞きください。
――初代で遊んだ方が大人になって、当時を懐かしむ需要が多いと思います。
織田氏:当時お買い上げいただいて楽しまれた方に楽しんでいただきたいと思いますが、発表してから、24年前になりますが遊んだことがなく、デザインも可愛いのでこの機会に遊んでみたいという新しいユーザーのお声も頂いていますので、幅広いお客様に遊んでいただきたいです。
――PS Plus加入者向けの抽選ということですが、加入時期は関係なく、今から無料のコードで参加しても抽選対象となるのでしょうか?
織田氏:はい。
――コントローラーが以前と同等のものがついていますが、周辺機器やセーブのデータなどの扱いは、どうなるのでしょうか?
織田氏:今回復刻版として新しい形で設計しておりますので、以前のプレイステーションの周辺機器やメモリーカードなどはクラシックでは使用できません。
――今空前のミニブームと言えますが、PSクラシック発売のきっかけは?
織田氏:1994年12月3日にプレイステーションを発売させていただきまして、今年の12月3日をもって、25年目になります。節目の年になりますので、このタイミングに復刻版を発売させていただくことになりました。
――eスポーツについて、SIEとしてどのように見ていらっしゃいますか?
織田氏:eスポーツを通して、ゲームの楽しみ方が増えるということだと思います。日本の場合はプロゲーマーの資格を持たれている方が大会に出る仕組みになっていますが、プレイを視聴する、応援する、応援して選手をもりたてる、ある意味での参加型のゲーム体験だと考えています。より幅広いお客様にゲームを楽しんでいただけるきっかけになると思います。
今回のゲームショウでは、弊社が主催となり、「コール オブ デューティ ワールドウォーII」のプロリーグの決勝戦が行われます。こういった形でeスポーツを盛り上げるために大会の主催など、多くの方に遊んでいただけるような場を設けたいと思います。
――PS VRの現状や今後について教えてください。
織田氏:PS VRに関しまして、発売してからすでに300を超えるタイトルが出ています。新しいゲームの楽しみ方として、たくさんの方に楽しんでいただけていると思います。本日の東京ゲームショウの会場でも、「みんなのゴルフ VR」を試遊展示しているなど、ゲームが増え続けています。
――PS VRについて、市場の期待を下回って推移している事実があると思います。テコ入れ策をどうするのか、BtoBに広げていくのもひとつですし、どういうお考えを持たれていますか?
織田氏:PS VRは今年で2年ですが、これからも時間をかけて普及に関しては取り組んでいきたいと思っています。ゲーム以外のコンテンツについては、PlayStation LineUp Tour(以下、LineUp Tour)で発表させていただいたように宇多田ヒカルさんのコンサートツアーをPS VRで楽しめたり、「キングダム ハーツ」のPS VRコンテンツも提供されます。皆さまに喜ばれるコンテンツをたくさん出していくことが、コンソールの普及につながると思いますので、より一層力をいれて、普及に努めていきたいと思います。
BtoBについては、具体的に申し上げる材料を持ち合わせていませんが、いろんな可能性を追求して、PS VRそのものの普及させていきたいと思います。
――PS Moveの後継機になるようなPS VR専用コントローラーは?
織田氏:タイトルそれぞれがどのような遊び方を想定するのかによって、周辺機器の充実が要求されていくのだと思います。PS MoveはPS VRの前からあったもので、PS VRが出てから非常に相性がよく使いやすいということで、たくさんのお客様にお買い上げいただいています。エイムコントローラーもタイトルに付随するもので、使い勝手が良く、これからもタイトルの遊び方によって周辺機器も含めた提案を続けていきたいと思います。
――PS4がコンソールサイクルの終盤に入ってきたのではないかと思いますが、今後の戦略は?
織田氏:PS4は発売から5年が経過しようとしています。コンソールのライフサイクルについては過去一定の期間をもって世代交代をしていますが、PS4に関してはオンラインに特化した機能を強化しておりまして、新しい楽しみ方、オンラインマルチプレイといった楽しみ方、旧世代に比べても遊び方が増えているなど、端的にプラットフォームの終盤に入っているような見解は持っていません。ますますゲームの楽しみ方が出てきますので、これからもPS4で楽しんでいただけたらと思います。
――コンソールやスマホに性能に差はなくなってきていると思いますが、その中でもPS4を選んだほうがいい理由を改めて教えてください。
織田氏:いろいろなプラットフォームでゲームを楽しめる環境が整ってきていますが、我々はPS4でしか遊べないユニークなゲームを提供していきたいと考えています。先日発売した「Marvel's Spider-Man」もいろいろなところで好評いただいています。プレイステーションならではの高画質で、ユニークなタイトルになっています。プラグインで電源を入れてすぐ遊べるコンソールですので、たくさんの方に遊んでいただきやすいゲーム機だと思います。
――PS Vitaは今後どういう展開になるのでしょうか?
織田氏:携帯型のコンソール機については、PS Vitaの後の計画を現状では持っておりません。PS Vitaについても、ゲームタイトルの数そのものは少なくなっていますが、2019年までは出荷を継続し、タイトルを出していく予定です。
――2019年からは売り切れたら店頭に並ばないということになるのでしょうか?
織田氏:はい。生産が完了したものに関しては、売り切れてからは店頭に並ばないことになります。
――プレイステーションはテレビに繋いで遊び、持ち運びはスマートフォンで遊んでもらう戦略なのでしょうか?
織田氏:PS4は大画面で楽しんでいただき、PS VRは新しい楽しみ方で楽しんでいただければと思います。持ち運びに関しては、スマートフォンゲームがメインになっていると思いますが、弊社のコンソールとしては、PS4とPS VRで楽しんでいただければと思います。
――PlayLink対応のタイトルが日本国内では2タイトル出ましたが、そういったタイトルは今後も計画はあるのでしょうか?
織田氏:スマートフォンとプレイステーションをつなげる遊び方は新しい提案という形でタイトルを出していまして、ユーザーさんからも非常に楽しいという意見を聞いています。今後すぐにタイトル情報をご案内することはできませんが、ユーザーさんの声を通して、タイトル開発の参考にさせていただきたいと思います。
――今後、PS4やPS Vitaでのインディーゲームの後押し体制に変化はあるのでしょうか?
織田氏:いろいろなゲームを作って、いろいろな遊び方を提案するという観点からもサポートさせていただいております。引き続き、インディーゲームの活動には注目し、サポートを続けていきたいと思います。