スクウェア・エニックスより2022年11月4日にNintendo Switch版、11月5日にSteam版が発売予定のファンタジー生活シミュレーションRPG「ハーヴェステラ」。本作の開発スタッフへのインタビューをお届けする。

インタビューに答えてくださったのは以下の3名だ。

高大輔氏:プロデューサー&ゲームデザイン
古屋海斗氏:ディレクター&シナリオ
受田直之氏:開発ディレクション

ゲームデザインや世界設定に込められた意図や、無料配信中の体験版でプレイできる第1話~第2話に続く第3話以降の見どころほか、気になることについてうかがったので、本作に期待を寄せている方は、ぜひチェックしてほしい。

“春夏秋冬”をつかさどる4つの街が登場。どこへ最初に向かうかはプレイヤーの自由!

――まず、皆さんの「ハーヴェステラ」での担当をお聞きできればと思います。

高:私、高大輔はプロデューサーと、あとはゲームデザイン全般ですとか、直近ではローカライズ対応など、あまり役割にこだわらずいろいろとやっていました。

古屋:ディレクターとシナリオを担当しました、古屋と申します。

受田:開発を受託させていただいたLive Wireの受田です。ゲームの仕様や設計は高さんを中心にスクエニの皆さんがやってくださったので、我々はそれをどのようにゲームへと実装するかといった部分を担当しておりました。

――ありがとうございます。「ハーヴェステラ」はどんなコンセプトのゲームなのでしょう?

高:本作はゲームジャンルとしてはファンタジー生活シミュレーションRPGになります。こうしたジャンルは先人たちが素晴らしい作品を残してくれているのですが、“生活シミュレーション”については、“可愛らしい・ポップ・優しい”世界観のものが多い印象を持っていました。

私自身好きなジャンルでよくプレイしているのですが、より“JRPGらしさ”に振った、美しくもシビアな世界を舞台とした生活シミュレーションが欲しいと思い、「ハーヴェステラ」では“死季”という概念を取り入れました。そこで生きる者にとって過酷な要素があることで、どんなドラマや展開が生まれるだろう? そんな発想から始まった企画になります。

――死季の、プレイヤーが営む生活への影響にはどんなものがありますか?

古屋:死季が来るタイミングは春から夏、夏から秋といった季節の変わり目で、この期間が来ると、畑の作物はすべて枯れてしまいます。それまでに育てた作物はすべて収穫していただくのがゲームサイクルの基本になっていますね。ただ、死季の直前になると「あと◯日で死季が来ます」のように表示されるので、計画的に備えることはできるかと思います。

――春夏秋冬、すべての季節の変わり目に死季が訪れるのですね。

古屋:そうですね。ひとつの季節は30日で切り替わるので、分かりやすいかと思います。

――次にストーリーについて伺います。体験版をプレイしてみると、アリアが未来から来た少女であることが明らかになり、タイムスリップSF的な要素があることに驚きました。こうした要素はどういった意図で取り入れられたのでしょう?

古屋:“JRPGらしさ”というテーマを高から提示されて、その構成要素を分解していったときに、ファンタジーにSF的なエッセンスを加えることで独自の世界観を構築してきたゲームが多いと思ったんです。弊社のタイトルならば「ファイナルファンタジー」シリーズや「クロノ」シリーズなどが顕著ですよね。

私がそうしたゲームで育ってきた世代なのもあり、その魅力を現代風にアレンジして投入することにチャレンジしました。

――季節を司る結晶体・シーズライトを崇める教団が力を持っていたり、魔族が一枚岩ではなかったりと、さまざまな派閥が入り乱れているのも本作の特徴かなと思います。「この勢力は悪だ」のような単純な描き方ではなく、どの勢力にも協力関係を結べるキャラクターがいるようなイメージなのでしょうか?

古屋:体験版の範囲では魔族のディアンサスというキャラクターが、目的は不明ながら主人公に協力してくれたかと思います。ほかの街に行けるようになると、教団の巡礼師であるシュリカというキャラクターも仲間になってくれたりと、いろいろな勢力と交流することで仲間が増えていくのは確かです。

それぞれの勢力とどのように関わっていくかといった部分は、ゲームをプレイしてからのお楽しみということで……。

――分かりました。生活シミュレーション系のゲームだとひとつの街を拠点にした遊びが多いと思います。「ハーヴェステラ」にはいくつもの街があって、そこに向かって旅をするといった要素がユニークだと思うのですが、このあたりの仕様についても教えていただけますか?

受田:「ハーヴェステラ」には5つほどの街が登場するのですが、春夏秋冬をつかさどっている4つの街のうち、体験版でプレイできた秋以外の3つの街は、どの順番で向かってもいいような設計になっています。「この順番で行く必要がある」とか「このくらいまでレベルが上がらないと行けない」みたいなことは極力ないバランスにしています。

街によってお店で買える作物の種が違っていたりと、どの街に行くかで多少なり攻略への影響はありますが、取り返しがつかない要素は無いゲームになっています。どう遊んでも問題ないので、いろいろ試してみていただければと。

ほかにも、アクション性もありますが、しっかりレベルを上げればアクションが苦手な人でも敵を倒して先に進めるといった調整なども含め、いろいろな遊び方を許容するゲーム性にもなっていますね。こうしたバランスはスクウェア・エニックスさんのほうで調整していただいています。

――バランス調整を行う上で意識したことはなにかありますか?

高:誰もが楽しめるようになっていますが、緩くなりすぎないように気をつけました。「ハーヴェステラ」は何をするにもお金が重要なゲームです。武器の強化や、畑の拡張、家畜の購入など、いろいろな場面でお金が掛かるので、畑で作物をいかに効率よく育てるかというのが求められます。このゲームでは敵を倒してもお金を落とさないので、強くなるためにも、何をするにも常にゲームの中心に農作業があります。そのことをしっかり考えてもらうようなバランスになっているんです。

そもそも農作業って、基本的にお金を稼ぐためのものだと思っています。自給自足で暮らすというのも考えられるとは思うのですが、現実的にも第一次産業としての経済活動の側面が大きいはずです。なので本作でも、農業はメインの資金源として重要なものになっています。

――なるほど。体験版をラストまでプレイすると、アリアとの親密度が1段階上がりましたが、こういった要素は今後、ゲームにどのように関わってくるのでしょう?

古屋:まず親密度についてはアリアだけがちょっと特別で、一定の段階まではメインストーリーの進行にあわせて上がっていきます。ほかのキャラクターはそれぞれに“キャラクターストーリー”というものを用意しておりまして、それを進めていくうちに関係性が発展するといったものになっています。

親密度が上がると、そのキャラクターとパーティを組んでバトルしたときに“パーティボーナス”というものが発生して、攻撃力や防御力が上がるといった効果が付与されます。けっこう大きめの効果になっているので、キャラクターストーリーを追って、そのキャラクターと仲良くなればなるほどバトルでも活躍してくれるようになるイメージですね。

受田:パーティボーナス以外にも、バトルで倒れてしまったときの復活時間が短くなるといった効果もありますね。

古屋:キャラクターストーリー自体の報酬も別に用意されていたりと良いこと尽くめなので、ぜひ気になるキャラクターたちと積極的に親交を深めていただければと思います。

――キャラクターストーリーの内容については、その相手キャラクター自身の問題を一緒に解決してあげるといったイメージで合っていますか?

古屋:まさにその通りです。キャラクターが持っている人生における悩みを一緒に解決していく中で、絆が深まっていくようなイメージです。将来への分岐点に差し掛かっているキャラクターなどもいて、プレイヤーが共感できるものもあると思います。

――キャラクターとの好感度があるゲームの場合、親密度が高まると恋愛に発展するようなことも多いと思いますが、そのあたりはいかがですか?

古屋:どこまで言ってよいものか迷いますが(笑)。メインストーリークリア後に親密度MAXのキャラと、同居できるようになる、パートナーシップというイベントがあります。あと好感度による変化としては、町中ですれ違ったときに挨拶をしてくれるのですが、そのリアクションが変わっていきますね。

――今回、椎名豪さんの壮大で美しい劇伴も大きな魅力となっていますが、スクウェア・エニックス作品で椎名豪さんを起用するのは初めてで合っていましたでしょうか? 起用の切っ掛けをお聞きしたいのですが……。

高:実は初めてではなくて、Apple Arcadeでの配信後、先日Nintendo Switch、PS4、Steamでもリリースされた「バリアスデイライフ」という浅野チーム(浅野智也氏率いる開発チーム。代表作は「ブレイブリーデフォルト」「OCTOPATH TRAVELER」など)のタイトルで椎名さんに参加いただいています。

――そうだったんですね。失礼しました。

高:ただ、コンソール向けの新規作品としては初めてですね。今回は、もともと私が知り合いだったので、作曲の方が見つからずに困っていたときに泣きつきまして(笑)。非常にお忙しい方なのですが、なんとかスケジュールの合間を縫って手掛けていただきました。基本的に全曲椎名さんが作曲してくださっています。本当に素晴らしい曲ばかりなので、椎名さんの楽曲ファンの方もぜひプレイしてみてください。

――ありがとうございます。最後の質問です。体験版をプレイしたユーザーに向けて、その後のゲームでの注目してほしいポイントについてお聞かせください。

高:体験版範囲の第1話~第2話はさまざまな制限があって、1本道のゲームになっていたかと思います。第3話以降は自由度が格段に上がって、いままでが“1”とすると“1000”ぐらい……それは言い過ぎかもしれませんが(笑)、どういう順番で、何を優先して攻略してもかまわない自由な楽しみ方ができるようになります。ご期待いただければと思います。また、体験版でご意見をいただいたワールドマップでの時間経過などの一部は、発売同日のアップデート対応で解消ができるよう進めています。間に合わない場合はアップデートで対応しますので今しばらくお待ちください。

古屋:ストーリー的にも体験版の範囲はさわりの部分という感じなので、これからこの世界の謎がどんどん見えてきます。第3話からは先ほども話題に上った春夏秋冬の街にも行けるようになり、新しい仲間との出会いもあります。それを楽しみにしていただきつつ、世界を救う物語の続きにもご期待ください。

受田:生活も物語も両方100%楽しめるゲームを作りたいという高さん、古屋さんの話を聞いて、開発会社としてそれを形にするために頑張りました。先が気になる魅力的な世界になったと思います。取り返しがつかない要素も、時間制限もないので、じっくり遊び込んでいただけたら嬉しいです。

ハーヴェステラ

スクウェア・エニックス

Switchダウンロード

  • 発売日:2022年11月4日
  • 12歳以上対象

ハーヴェステラ

スクウェア・エニックス

PCダウンロード

  • 発売日:2022年11月5日
  • Steam

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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