Gentle Troll Entertainmentが10月3日に発売したテキストアドベンチャー「タヴァントーク」(Tavern Talk)のNintendo Switch版プレイレポートをお届けする。

ファンタジー世界で酒場のマスターとなり、冒険者の話に耳を傾けて
本作のプレイヤーは、冒険者たちが集う酒場「旅人亭」のマスターだ。訪れる者たちへ魔法の飲み物を振る舞いつつ、噂話を集めてクエストを提供したり、クエストをクリアするためのサポートを飲み物で行ったりできる。マスターがカウンターごしにキャラクターと対話し、飲み物を提供するという形式は「VA-11 HALL-A(ヴァルハラ)」や「コーヒートーク」などをプレイしていればお馴染みだろう。
この世界は人間、エルフ、ドワーフ、吸血鬼、スケルトン、魚人、巨人などの多種多様な種族をはじめ、スライムやドラゴンといったRPGでお決まりのモンスターも存在するクラシックなファンタジー要素に溢れている。マスターの手帳に収録されている地図には各地の重要スポットや町の様子などが事細かにテキストで書き込まれているが、その状況がスチルで描かれたり、プレイヤーたるマスターが自分の目で確かめに行ったりするようなタイプのテキストアドベンチャーではない。
その代わりというように旅人亭を訪れたり、ここから旅立った冒険者たちは旅先で何が起きたのか、何を感じたのかを自分なりの言葉で生き生きと伝えてくれる。クエストの様子や本作独自の専門用語を冒険者たちからの伝聞で空想していく……といった流れは、ゲームマスターの言葉から想像を膨らませていくオーソドックスなTRPGらしい体験のように思える。本作がとくに影響を受けているのが、RPGの原点ともいわれるTRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」なのも納得のスタイルだ。
ひとつのエンディングにたどり着くまでゆうに10時間は超える広大な世界での冒険譚を他者の視点で紐解きながら、自身の想像力でも膨らませていく。小説のようでありながら、選択肢による変化やマルチエンディングなどゲームのもつインタラクティブ性もしっかり備わっていて、重厚なハイファンタジーの世界を個性豊かなキャラクターと会話形式でじっくり楽しめるのが本作の醍醐味であり魅力だ。
バフ効果のある魔法の飲み物を作り、冒険者へ提供
ここからは、実際に本作がどのような流れで進んでいくのかを紹介していこう。
旅人亭は、冒険者が直面する危機を乗り越えられるような魔法の飲み物を提供していることで有名なスポットだ。身体能力を強化する、いわゆるバフ効果を受けられるので、旅立ちの前に立ち寄る冒険者も多いらしい。
マスター(女性、男性、無性から選択可能)は、ここを訪れる冒険者たちと選択肢も交えつつ会話をしながら、彼らの希望どおりの飲み物を提供していく。ちなみに「これから冒険に出るぞ!」と意気込んだ時だけではなく、はじめましてや久しぶりの挨拶代わりをはじめ「これから長話に付き合わなきゃいけないから、耐久力がほしい」といったようなカジュアルな流れで飲み物を出すことも多い。

飲み物は複数の魔法薬や、香味料を組み合わせて完成させる。強化できる能力は「筋力」「魅力」「捷力」「知力」「耐力」の5つで、強化したい能力に応じた魔法薬をレシピ通りに配合すれば飲み物の出来上がり。冒険者がどのような形でクエストに向かい合い、そのために何を強化したいのかは会話中に出てくるが、会話ログを覚えたり見直したりする必要はない。要望はレシピに貼られたメモを見れば把握でき、魔法薬の配合量もレシピから作業場の黒板へ書き写して見ながら調整できるため製作自体は非常にスムーズだ。
ちょっと魔法薬を入れすぎた場合や間違えた場合も、名は体を表すような「アンドゥ」という生き物が1メモリ分から飲んでくれるのでエコの観点(?)からも安心できる。

「うわさ話」を集めてクエストを発注し、冒険者へ託そう
こうして飲み物を提供しつつ冒険者との会話を楽しんでいると、時折「うわさ話」が舞い込んでくる。内容は「どこそこでモンスターが徘徊している」とか、「とあるモンスターの弱点はこれ」とか、「よそ者が現れたらしい」とか断片的なものばかりだか、関連性のある話題を複数入手すると「クエスト」として発注できるようになる。
クエストを掲示すると、ほどなく冒険者が受注を申し出てくる。その動機は冒険者としての小さな一歩だったり、過去の因縁だったり、好奇心や信念だったりと理由はさまざま。とくにクエストを受ける過程と、成功にせよ失敗にせよクエスト後の会話は登場人物たちの人となりをよく知るいい機会となる。

クエストの解決方法については複数の案が出るので、マスターとして彼らの提案に最適な飲み物を提供しよう。例えば「モンスターが出現して困っている」であれば「倒す」または「説得する」、「ある品物を手に入れてほしい」であれば「正面から戦う」または「ひっそり行動する」などの選択肢が提示されるので、説得したいのであれば魅力を高める、モンスターと戦うのであれば防御力を強化する飲み物など、冒険者が選んだ手段にふさわしい飲み物をよく考えて選ぼう。
ネタバレを抑えつついくらか具体的な例を挙げると、旅人亭の常連客にフェイブルというエルフがいる。フェイブルは森の調和を守るレンジャーだが勇者のような存在に憧れる一面があり、己を奮い立たせてあるクエストへ挑むことになる。その際はフェイブルらしい挑戦ができるよう穏便な進め方で背中を押したところ、結果的に非常にうまくいった。さらに、その選択が獣屠りのケアリンが抱えていた過去の確執にも関係していたことが後々判明し、それも穏やかな形で解決することができた。これは文句のつけようがない、ベストな展開だったと思える。
一方、このケアリンが名乗りを上げたクエストでも、彼女らしく行動できるよう攻撃面をサポートする飲み物を提供した。しかしクエストの目的こそ達成できたが、かなりの苦労をさせてしまい「こっちじゃない飲み物を出せばよかった……!」と非常に後悔。とはいえ、これもまたTRPGにおけるダイスの結果のようなものだと受け入れることにした。クエストを手際よく解決できると酒場に戦利品が飾られる場合もあるので、周回して色々なシチュエーションを試すのもいいだろう。こうして少しずつ困りごとを解決していった先に待っている展開は……ぜひ、実際にプレイして確かめてほしい。
このNintendo Switch版は2024年6月に配信されたSteam版で寄せられたフィードバックや日本から寄せられた意見も参考に、文字の早送り、既読スキップなどを追加して操作性を向上している。何かと小さな文字の多い本作だが、手帳などは拡大できるようになっていてSteam版のリリース当時よりもテキストが見やすくなっているようだ。
日本語訳も小川公貴氏(コーヒートーク、Citizen Sleeperなどの翻訳を担当)が再度チェックし、改善した状態でリリースしたという。実際に読み進めていても非常に自然かつユーモラスな日本語で展開されていたので、より没入感をもって本作を楽しめるだろう。なお、これらの改善点はSteam版にもアップデートで適用されている。Nintendo Switch版は10月29日23時59分まで10%の割引価格で購入できるので、興味をもったらこの機会を逃さず利用しよう。
本コンテンツは、掲載するECサイトやメーカー等から収益を得ている場合があります。





























































