千葉・幕張メッセにて9月21日より開催中の「東京ゲームショウ2017」。ここでは、コーエーテクモゲームスブースにてプレイアブル出展されている「信長の野望・大志」のプレイレポートをお届けする。
戦国武将となって天下統一を目指す、おなじみの人気歴史シミュレーションゲーム「信長の野望」。そのシリーズ最新作となる「信長の野望・大志」では、全国の大名たちが「志」と呼ばれる独自の行動基準を持っており、所領の拡大を狙う者もいれば、領土の保全を重視する者もいるなど、それぞれが異なる思惑で動くため、より多様な戦略・戦術を楽しむことができる。
今回プレイするのは東京ゲームショウ出展用の特別バージョンで、青年時代の織田信長でプレイできるようになっていた。公式サイトなどですでに公開されているとおり、成長した信長の「志」は有名な「天下布武」だが、青年の信長の「志」は「うつけの天下」で「海運奨励」と「母衣衆組織」が特性となっている。このように年齢によって「志」が変化する武将は他にもいるとのことなので楽しみにしておこう。
また、過去のシリーズ作では初心者はチュートリアル用のシナリオをプレイする必要があったが、今回は序盤がミニチュートリアルになっていて、ゲームを進めながら基本的な操作を覚えることができた。もちろん、説明をすべてスキップしてどんどん進めていくことも可能。初めてプレイする人もシリーズのファンもすぐに楽しめるようになっているのだ。
ゲームを開始したら、まずは国力をつけるべく内政で新たな「商圏」への進出を指示。この「商圏」は新システムのひとつで、大名は各地にある商業の盛んな土地=商圏を確保することで収益を拡大できる。敵の領土内にある「商圏」に進出することも可能だが、それにはその領土を支配する大名と友好関係を築かなければならない。このように内政と外交が密接に結びついているわけだ。
というわけで、隣国に商圏を広げるべく、美濃の斎藤家と外交交渉を始めることにした。外交は外交目標とその国との交渉を担う「奏者」を設定して進める。目標には「通商可能」「同盟可能」「婚姻可能」など何段階かあって、いきなり最高レベルを目標に設定することも可能だが、それにはかなりの時間がかかる。もっとも目標値の低い「通商可能」な関係になれば相手領土の商圏に進出できるようになるので、まずは「通商可能」に目標を設定。外交能力の高い村井貞勝に交渉役を任せることにした。ちなみに、今川家とはすでに交戦状態にあるようで、交渉を持つことは不可能になっていた。つまり、史実同じく東の今川家が序盤の最大の敵となるわけだ。
次のターンに行く前に青年信長の特性もチェック。すでに述べたとおり青年の信長は「海運奨励」と「母衣衆組織」という特性があるが、「海運奨励」には港のある商圏の収入が増える「海上貿易」、港のある商圏が毎月成長する「海運都市」、兵馬・軍馬・鉄砲の購入価格が下がる「津島衆」という3つのメリットと商圏の独占ができなくなる「市の独占を禁ず」というデメリットがある。ただし、最初から取得しているメリットは「海運都市」だけで、そのほかのメリットは設定された条件をクリアすることでアンロックされる。条件も「漁港のある商圏に3個進出する」「商業港のある商圏に3個進出する」で、信長らしい商業重視の政策を進めていけば、特に意識せずとも自ずとこれらのメリットを得られるようになるわけだ。
次のターンでは農業を実行することにした。農業への指示は季節ごとに年4回出すことができる。今回は季節が夏で「草刈り」と「灌漑」が実施可能になっていたので、とりあえず「草刈り」を選択して生産性を高めることにした。ちなみに、作業によって消費するリソースが異なっていて、「草刈り」の場合は「労力」を使用して行う。「労力」は農民の数によって変化し、秋や冬に「開墾」を行って農民を増やすと、消費する労力が減って命令を出せる回数も増えていくという仕組みになっている。
きたるべき戦いに備えて「募兵」も実行。足軽と農兵の2種類がいるが、足軽は雇うのにお金がかかるので、まずは農兵を集めることにした。ただし、農兵が増えると農民が減って兵糧収入が減ってしまうため、兵を集めすぎるのは禁物と言えそうだ。もちろん、ギリギリまで兵数を増やし、場合によっては足軽も雇って序盤の戦いを有利に進めてもOKである。
さて、外交が成功して斎藤家と通商協定を締結。これで美濃の商圏に進出できるようになった。続いて、「評定」を実行。「評定」は3カ月ごとに行われる、大名の政策を決定する会議のようなもので、配下の武将の提案を聞いて、どの意見を採用するか選択できる。意見の内容はさまざまで、選んだ意見に応じて「商業」「農業」「軍事」などのポイントを取得することが可能。得られるポイントが1種類だけのものもあれば、全分野のポイントをまんべんなく獲得できるものもある。最大3人の武将の意見を採用できるので、それぞれの内容をよく見て決めよう。
この「評定」で得たポイントを消費することで、全軍の兵糧の消費量を抑える「小荷駄隊」や商圏から得られる収入が上がる「撰銭令」など、勢力全体に影響を及ぼす、さまざまな「方策」を得ることができる。各方策は「商業」「農業」「軍事」「その他」の分野ごとにそれぞれツリー状になっていて、いずれかの分野を優先的に伸ばしていってもいいし、全分野をまんべんなく伸ばしていくというのもありだ。すべてプレイヤーの自由なので、自分の個性に合った国を形成できる。
ある程度準備が整ったので、清州城を狙っている今川家に宣戦を布告。すると、今川と友好関係にある北条や武田が助力を表明した。今回は大丈夫だったが、隣接する国が敵に回ったら大事で、宣戦を布告する際には周辺国としっかりよしみを通じておくべきだろう。
いよいよ戦闘ということで「行軍」で進行ルートを決定。今川家の前線である鳴海城を攻めた場合、その手前で今川軍に迎撃されることが分かった。ただ、兵力的にはこちらが有利なので、領内の城から兵をかき集めて、鳴海城に攻撃目標を設定。かくして今川軍と初めてぶつかることとなった。
戦闘が開始されると「決戦」画面に移行。ここで配下の木下秀吉から「本陣切込」という作戦が提案されたので、これを実行することにした。これで本陣が見つかり次第、秀吉の部隊が斬り込むようになる。他にもいろいろな武将が作戦を提案してくるので、戦況をよく見て、どれを採用するか決めよう。
戦闘が始まった時点ではどこに敵がいるか分からないので、各部隊を慎重に進める必要があるのだが、今回は時間もないので数にまかせて力押しすべく全部隊に一気に前進するよう命令。この「命令フェイズ」が終了すると、「進行フェイズ」へと移り、命令に従って部隊が行動を開始する。この「命令フェイズ」と「進行フェイズ」を繰り返すことで戦いは進んでいく。
やがて敵部隊の位置が判明し、攻撃を仕掛けられるようになった。数で優位に立っているので、うまく各部隊を動かせば敵部隊を挟み撃ちにしたり、後方に回り込んだりすることも可能なのだが、今回は猪武者に徹して遮二無二攻撃することにした。
戦闘時には武将に軍配マークが表示されることがあり、これを選択すると各武将が持つ、さまざまな「戦法」が発動可能になる。強力な効果を持つ「戦法」がけっこうあるので、積極的に使っていきたいところだ。また、武将たちには「士気」を表す白いバーがあり、これがゼロになると1ターン動けなくなるため、士気の下がった部隊はいったん後方に下げるなどの対応が必要になるだろう。逆に、士気がなくなった敵は集中的に攻撃して、一気に殲滅してしまうといい。
戦闘のほうだが、今回は圧倒的に数で優位に立っていたので、被害は自軍のほうが多かったが、どうにか敵のゲージをゼロにして勝利することができた。ところが、ホッとしているところに今川が進攻してきたとの知らせが。今度は敵のほうが数が多く、ピンチに陥ったところで今回の体験は終了となった。
あくまで体験版なので製品版ではどうなるか分からないが、序盤はやるべきことが非常に限られていて、システムを学びながらサクサク進めることができた。戦闘の方もムチャな戦い方をしてしまったが、もっと慎重に戦っていれば、より確実に勝てただろう。かなりとっつきやすいので、シミュレーションが苦手という人でも手軽に始められるのではないだろうか。
また、今回はコンピューター武将が「志」によって動きがどう異なるのか、見ることはできなかったが、足利家の「志」が「家督継承」、浅井家が「湖北仁長」となっていて歴史オタである筆者は思わずニヤリとなってしまった。ほかにもさまざまな「志」が登場するとのことなので、こちらも楽しみにしておこう。