12月8日、カプコンは東京・お台場のVirtuaLink in DiverCity Tokyo Plazaにて「バイオハザード7 レジデント イービル ゴールドエディション」発売記念クリエイタートークショウを開催した。さまざまな開発秘話が披露された本イベントの模様をレポートしよう。

「バイオハザード7 レジデント イービル ゴールドエディション」は「バイオハザード7」のゲーム本編のほか、追加DLCとして配信された「Banned Footage Vol.1&Vol.2」、さらに物語の最終章となる新エピソード「End of Zoe(エンド・オブ・ゾイ)」を収録した特別バージョンで、いよいよ12月14日に発売となる。

今回のイベントでは本作の発売を記念して、「End of Zoe」の見どころ紹介や実機デモ。今だから明かせる開発秘話の数々を本編のネタバレ込みで明かす、クリエイター陣のトークなどが行われた。

右から川田将央シリーズプロデューサー、神田剛プロデューサー、「バイオハザード」アンバサダーのてんちむさん、地宏之アートディレクター、鉢迫渉サウンドディレクター。

今回のイベントの一番の見どころとなっていたのが、最終章となる新DLC「End of Zoe」の紹介だ。本編の後日談的な位置づけとなっていて、新たな登場人物・ジョーとベイカー家の娘であるゾイを中心にストーリーが展開。石灰化してしまったゾイを助けるべく立ち上がったジョーの戦いが描かれるとのことで、「ベイカー家を襲った惨劇に終止符が打たれるのか?」という部分が物語のキモになるようだ。

シリーズプロデューサーの川田将央氏とプロデューサーの神田剛氏によると、ベイカー家の近くにある湿地帯が舞台のひとつになるとのこと。さらに、パワーアップした新種のモールデッドも登場してくるそうで、ジョーとゾイの運命がどうなっていくのか、その中でジョーがこういったモールデッドにどう立ち向かっていくのかが見どころになると神田氏は説明した。特別に公開されたPVでもジョーの意味深なセリフがあり、本編をプレイ済みの人は必見の内容と言えそうだ。

今回のゾイの造形は本編以上に力が入っているそうで、石灰化しつつある姿はかなり艶めかしい。

続いて、神田氏による実機プレイデモが行われた。ゲームはジョーの小屋からスタート。ベットには石灰化しつつあるゾイが横たわっており、彼女を助けるための治療薬を入手するというのが、ここでの目的となる。

画像は見せられないのだが、小屋の中にはワニの頭蓋骨などが飾られており、ジョーはかなりワイルドな人物であるもよう。戦闘方法も肉弾戦を主体としていて、なんとパンチでモールデッドを破壊することができる。もちろん、パワー一辺倒というわけではなく、物影に隠れながら近づいて背後から襲いかかって仕留めるといったことも可能だ。

しばらく進むと治療薬を持っているとおぼしき死体を発見。薬を入手した際、死体がドロドロと崩れ落ちるというホラーならではのゾッとするシーンを見ることができた。帰り道にもモールデッドがワラワラとわいてくるのだが、ジョーはまったく意に介さず、パンチやストンピングでガンガン倒していく。このあたりはかなり豪快で、本編とはまた一味違う爽快感抜群のアクションを楽しめそうだ。

かくしてジョーは小屋に戻るが、ゾイを助けるには薬が足りないことが分かる。そのとき、巨大なクリーチャーがジョーの小屋を襲撃。ゾイを抱き抱えて燃えさかる小屋からボートで脱出したところでプレイが終了となった。ちなみに、実機プレイ中ははっきりと確認できなかったのだが、コンボ技も使用可能になっているとのこと。どんなコンボを繰り出すことができるのか、こちらも楽しみにしておこう。

「お前らみてえなヤツを殺すのは素手で十分だ!」というジョーの豪快なセリフもあり、本編のジャック顔負けのパワフルなオヤジと言えそうだ。

ゲストのてんちむさんによるPS VRでのプレイも行われた。ゾイを抱きかかえながら沼を進んでいくのだが、てんちむさんは間近に見るゾイに思わず「抱きたいですね」と口走るなど大興奮。あまりにゾイに見とれすぎたのか、沼にいる巨大なワニに襲われてあっさりゲームオーバーとなった。ちなみに、このワニが大口を開けるシーンはかなり見ごたえがあり、VRでプレイしたら迫力倍増だろう。

ゾイに顔を近づけて、舐め回すようにしげしげと眺めるてんちむさん。ゾイの造形や肌の質感のリアルさに「きれい!」「すごい!」を連呼していた。

ファンにはおなじみのクリス・レッドフィールドが主人公となる無料DLC「NOT A HERO」も紹介された。今回のクリスはアンブレラの軍事顧問として登場。ベイカー家の惨劇の首謀者であるルーカスを確保するべくミッションに挑むことになる。

クリスといえばアクションということで、「サムライエッジ」や「トールハンマー」といった強力な銃器が登場。もちろん、パンチやストンピングといった肉弾戦も可能になっていて、多彩なアクションを楽しむことができる。また、クリスが装着しているコンバットスーツなども実際に存在するものを3Dフォトスキャンで取り込んで制作したそうで、そうしたモデルの精巧さも見どころのひとつになっている。

もちろん、新たなクリーチャーも登場。これらの敵にクリスがどう立ち向かうかが最大の見どころになるという。実際、川田・神田両氏によると「絶望感しかない」とのことで「謎解きあり、ホラー感あり」のハードなストーリーを堪能することができる。

本編ではちょっとだけの出演だったクリスがプレイアブルキャラクターとなる「NOT A HERO」は12月14日より無料配信される。

今回のイベントの会場となったVirtuaLink in DiverCity Tokyo Plazaとのコラボレーション企画の紹介。「バイオ7」の体験版として配信された「バイオハザード7 ビギニングアワー」を本会場のVRアトラクション「ワンダーポッド」でプレイできるというもので、開催期間は2017年12月9日から2018年1月31日までとなっている。

VirtuaLinkプロジェクトリーダーの川中子悠介氏も挨拶。川田氏とがっちりと握手を交わした。
「バイオハザード」をイメージした迷彩カラーの特別なポッドも用意されている。
会場にはおなじみのジャック・ベイカーの実物大フィギュアも設置。

クリエイタートークでは開発初期のコンセプト映像も公開

続いて、アートディレクターの地宏之氏、サウンドディレクターの鉢迫渉氏を加えたクリエイタートークが行われた。

先日開催された「PlayStation Awards2017」において「バイオハザード7」は「Gold Prize」など3賞を受賞したが、本作が国内外で高い評価を得た理由について川田氏は「コンセプトとなる“恐怖”に、これまで以上に着目したこと」が高評価に繋がったのではないかと分析。実際、「今回は怖かった」というユーザーの声が非常に多かったそうで、そうした恐怖を盛り上げたビジュアル、サウンド制作陣に称賛を送った。また、「VR完全対応にしたことも非常に大きかった」(神田氏)とのことで、川田氏もVRという「新しいゲーム体験」も評価に結びついたのではないかと、これに同意していた。

ここで、開発初期段階で作られたコンセプト映像が公開された。ベイカー家に似た荒れ果てた廃屋を一人称視点で進んでいくというもので、階段の上に首を吊っているのではないかと思われる女性の足を発見。さらに、廊下の奥に不気味な女性が現れ、恐ろしい形相で目前に迫ってきたところで終了となった。

本編の序盤の部分と同じく不気味さと恐ろしさが詰まった映像で、「実際にゲームとして仕上がったものと、それほど差異がないことをご覧いただけたと思います」と川田氏はコメント。こうした初期のキーコンセプトをゲーム中で達成することができたと改めて述べた。

意表を突くショッキングなシーンにてんちむさんが思わず悲鳴を上げる一幕も。ちなみに、スタッフ陣はこういったリアクションが一番うれしいそうだ。

アートディレクターである地氏は自身が担当したアート回りの部分について、「恐怖を盛り上げるために徹底的に細部までこだわった」と強調。そのため、開発中に初めてVRを装着してプレイした際、何人かの開発スタッフが「か、階段がある!」などと言って固まってしまったこともあったそうで、作った人間まで驚けるほどのクオリティを達成できたことから「イケる!」と感じたと振り返った。

サウンドディレクターの鉢迫氏は「サウンドは見えない敵、恐怖を演出しています」と説明。そうしたサウンドでじわじわとプレッシャーを与えつつ、映像でしっかり見せるというところに繋げていると語った。特に、サラウンド・サウンドにはこだわったそうで、「臨場感のある体験ができるように作ってあるので、試していただけたら」とヘッドフォンでのプレイを推奨していた。

ここで川田氏が「でも、あんなにドアの音はいらないと思うんですよね」とツッコミ。ドアの開け閉めのサウンドは100種類ぐらいあって、鉢迫氏も「ドアこだわりました(笑)」とのこと。ビンやフォークなどが床に落ちたときの音などもリアルタイムでシミュレーションしているそうで、そのようなちょっとしたサウンドの数々が恐怖を盛り上げてくれるというわけだ。

また、本作を開発していた頃から「4K」という言葉が一般に周知されるようになったが、実は当初4K対応にする予定はなかったそうで、途中から対応することにしたという。ただ、地氏いわく「かなりうまくできた」とのことで、「普通の1080pでは味わえない臨場感があるので、チャンスがあればぜひ体験していただきたい」と語っていた。

ここからはさまざまなテーマについてディスカッションを行うことに。最初のテーマはベイカー家の人々について。「ファミパン」でおなじみのジャックをはじめとする個性的なキャラクターたちの造形について聞かれた川田氏は「リアルさにこだわった」と回答。頭身も非常に人間に近いものになっており、そうしたこだわりが独特の人間臭さを生んだと述べた。

キャラクターの髪の生え際やヒゲ、シミなどの皮膚の質感なども非常にリアルだが、地氏によると、それらも恐怖の演出の一環とのこと。代表的なのが序盤でプレイヤーを恐怖のどん底に叩き落とすイーサンの妻・ミアの髪の動きで、「リアルなだけではなく恐怖に反映させる」ということを第一に考えて作ったという。とはいえ、なかなか思い通りの形にならず、試行錯誤の連続だったと地氏は述懐した。

キャラクターのセリフや声も「実際にいそうな人たち」というのを第一に考えたと鉢迫氏はコメント。「より人間臭く、泥臭く」という観点から役者陣と演技を作っていったと振り返った。こういった演出の効果によって誕生した恐怖のベイカー一家だが、DLCのひとつである「DAUGHTERS(ドウターズ)」では彼らの意外な一面を知ることができるので、未プレイの人はぜひ体験してみてほしい。

次のテーマはヒロインのミアとゾイについて。本編中ではこの2人をめぐって究極の選択があるのだが、そこも楽しみのひとつになっていて「彼女たちの存在によって面白さが成り立っている部分が大きかった」と神田氏は言う。

どちらも非常に強い女性だが、地氏は彼女たちを造形するにあたって「悲壮感はあるけれどもヒロインでなくてはならない」という考えがあったと語る。例えば、序盤のミアはボロボロで、かなり小汚いのだが、その部分をあまりリアルに作りすぎると「助けたくなくない」となってしまう。かといってキレイなヒロイン然としていると、それはそれで違和感があるため、そこのバランスにはかなり気を使ったとのことだ。

肌の質感についても彼女たちならではの難しさがあったそうで、例えばジャックやマーガレットのようにシワやシミなどがあってデコボコしている方がリアル感を出しやすいのだという。逆に、彼女たちのようなすべすべとした肌はリアルな質感を出すのが非常に大変で、その部分はかなり苦労したと地氏は語った。

本編の主人公であるイーサンもテーマに。とかく地味と言われがちであるイーサンだが、本作では一人称視点ということもあって、プレイヤーの体験=イーサンの体験とするため、「あえて」イーサンの個性はあまり出さないようにしたとスタッフ陣は語る。そのため、ゲーム中ではイーサンの顔が映らないよう、さまざまな工夫がなされており、ベイカー邸の鏡が割れていたのもその一環だったと川田氏は明かした。もちろん、顔の設定自体はちゃんとされているのだが、川田氏いわく「イケメンすぎて(見えると)怖くなくなる」とのことだ。

このように顔が映らない分、力を入れたのが手の表現で、ことにドアを開けるときの動きは超高価な専用グローブを使ってモーションキャプチャーするなど、タイミングやスピードなどに「メチャクチャこだわった」と地氏は言う。川田氏も「今回の主人公は“手”だ」と思っていたそうで、唯一の演技するポイントになるだけに、切断された手首をホッチキスで繋げる部分など、さまざまに傷つく部分も含めて手の表現には腐心したと振り返った。

このイーサンのアートは血のりが多すぎるという理由でボツになったもので、今回初めて公開したとのこと。

体験版やDLCなどで活躍(?)したスーワゲーターズも話題に上がった。メンバーのひとりであるピートだが、実はカプコンのスタッフがモデルとのこと。たまにエレベーターなどで会うとドキっとするそうで、そんなときは「まだ生きてる」と思ってしまうと語り、取材陣を笑わせた。今回は時間の都合で、他のメンバーについてはほとんど語られなかったが、彼らについてはまだまだいろいろネタがあるようなので、どこかで明かされるのを楽しみにしておこう。

番組撮影のためベイカー邸を訪れ、事件に巻き込まれたスーワゲーターズの面々。いろいろ悲惨な目にあうクランシーはもうひとりの主人公というべき存在だ。

戦闘の部分では、本作を象徴するクリーチャーであるモールデッドの音作りについて、意外な事実が明かされた。鉢迫氏によると、風呂掃除の際に排水口にたまっている髪の毛を見て、「これモールデッドの質感と似てるよね」と思ったそうで、そこから髪の毛っぽい音の着想を得たそうだ。神田氏は弾数のバランスに気を使った点を挙げ、かなり「バイオ」感が出ていたのではないかと評価。また、地氏はプレイヤーのHPの管理や見た目の痛さとダメージの受け方の調整にかなり気を配ったと述べた。

シナリオ部分では「家族愛」をテーマに取り込んで、うまくストーリーを構成できたとのことで、そこが従来の「バイオ」シリーズにはない魅力になっており、高い評価に繋がったのではと川田氏は分析。それは発売後に行ったアンケートの結果にも現われていて、ストーリーに関する満足度はかなり高かったという。

ストーリーを演出する部分で特に気をつけたのが「説明しすぎないこと」で、当初は絵にかなり情報を盛り込んでいたというが、プレイしたら自然に感じ取れるように意識してバランスを取ったと地氏は語る。サウンドの部分も同様で、音楽を入れるとそのシーンに意味がついてしまう。そのため、ドラマが展開するシーン以外では極力音楽を入れず、雰囲気で見せるようにしたと鉢迫氏は述べた。

最後に各クリエイターが本作をプレイ中であるいう、てんちむさんに向ける形で「ゴールドエディション」も含めた本作の魅力を改めてアピールした。川田氏は「2年半に渡る我々開発の血と涙が結集して出来上がったものです。これ以上怖いものはあまりないと思います」、神田氏は「開発陣のチャレンジとクリエイティビティが詰まったものになっています。家族愛が大きなテーマになっていますが、しっかり“バイオハザード”しています」とコメント。

地氏は「“怖い”と“楽しい”は紙一重なところがあります。やり切ることで楽しさの体験の幅が広がるゲームなので、追加コンテンツも含めてもっともっと楽しんでもらえたらと思います」、鉢迫氏は「ヘッドフォンでベイカーファミリーを取り巻く環境の中に入り込んでみてほしいですね。歴代のバイオ作品をモチーフにした音もけっこう入っているので、それを探してもらうのも面白いかもしれません」とそれぞれ語り、イベントを締めくくった。

バイオハザード7 レジデント イービル ゴールド エディション

カプコン

PS4ダウンロード

  • 発売日:2017年12月14日
  • 17歳以上対象

バイオハザード7 レジデント イービル ゴールド エディション グロテスクVer.

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  • 発売日:2017年12月14日
  • 18歳以上のみ対象

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  • 発売日:2017年12月14日
  • 17歳以上対象

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  • 発売日:2017年12月14日
  • 18歳以上のみ対象

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  • 発売日:2017年12月14日
  • 17歳以上対象
  • Steam

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  • 発売日:2017年12月14日
  • 17歳以上対象
  • Windows store版

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  • Windows store版

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  • 発売日:2017年12月14日
  • 18歳以上のみ対象
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※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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