「エースコンバット7 スカイズ・アンノウン」のVRモードは“本物のパイロット体験”ができる極上のエンターテイメントだったメディア向け体験会レポート&開発者インタビュー

インタビュー
0コメント 高島おしゃむ

バンダイナムコエンターテインメントからPS4/Xbox One版が2019年1月17日、Steam版が2019年2月1日に発売が予定されている「エースコンバット7 スカイズ・アンノウン」(以下、「エースコンバット7」)。PS4版でプレイできるVRモードをひと足お先に体験することができたので、その特徴とプレイレポート、開発者のインタビューをお届けする。

コンセプトは「本物のパイロット体験をVRで実現する」

「エースコンバット7」にはメインとなるキャンペーンモードがあるが、それとは別にPS VR専用コンテンツとして収録されるものが「VRモード」である。

「本物のパイロット体験をVRで実現する」というのが、このVRモードのコンセプトである。なぜVRモードを作ることになったのだろうか。これから「エースコンバット」などフライトもののゲームにおいて、どんな未来があるのかというところを追求して、それをプレゼンテーションするという目的で作られたものだ。

この「VRモード」のミッションには、VRで発艦し着艦、離着陸といった一連の流れがすべて収録されている。こうした総合的な体験が行えるミッションは、全部で3本収録されているとのこと。難易度はEASY、NORMAL、HARD、ACEの4種類が用意されており、そのほか自由に飛行が楽しめる「フリーフライトモード」や、戦闘機を間近で見られる「VRハンガー」、飛行の美しさが楽しめる「VRエアショー」といったコンテンツも用意されている。

ディテール感溢れる戦闘機を間近で眺め回せる「VRハンガー」

ちなみに、今回体験出来たのはVRモードに収録された3つの体験だ。そのうちひとつは、「東京ゲームショウ2018」でSIEブースにも出展される。

「VRハンガー」では、戦闘機が格納庫にある状態を見ることができる。実物大サイズの機体をあらゆる角度から見られるようになっている。

機体に装着されているミサイルやリベットなど、細部にまでこだわって作られているのだが、これらはすべてVRで見ても問題ないようにVR専用に制作されたものだ。「VRハンガー」のホログラム表示はHMD(ヘッドマウントディスプレイ)をイメージした立体的な表示になっているのだが、そうしたものも含めて、すべてVR用に作られているそうだ。

最初に体験したのがこの「VRハンガー」だったのだが、たしかに戦闘機の大きさを感じ取ることができた。なによりも細部にまでわたって作り込まれたデータを、じっくり眺め回しているだけでも楽しいのだ。

ちなみに製品版では、「F/A-18F Super Hornet」「F-22A Raptor」「Su-30M2 Flanker-F2」の3種類に加えて、シークレットとして4機目も用意されている。こちらについては、実際に発売されてからのお楽しみとなる。それぞれの機体で3つずつ兵装も選べるようになっており、戦い方も変わってくるそうだ。

F/A-18F Super Hornet F-22A Raptor Su-30M2 Flanker-F2

映画のように母艦から発艦する「VRミッション 1」

「VRミッション 1」は、海上がメインのミッションだ。戦闘機が発艦するところから始まり、機体がデッキの上を移動していくのだが、このときの感覚がまるで椅子が動いているかのような感覚を味わうことができた。

「実はスタッフが後ろで椅子を動かしていました」と言われた冗談が、本気で冗談に聞こえなかったぐらいの没入感があり、かなり驚いた部分でもある。

この「VRミッション 1」は、自動で動いているものを眺めるというよくあるライド系のVRコンテンツではなく、本編同様しっかりと機体の操作が行えるものとして作られている。

準備が完了すると、R2ボタンで発艦することが可能だ。スティックを下に倒すことで機体を上げることができるほか、左右で機体の傾きもコントロール可能だ。当然のことながらVRであるため、さまざまなところを見渡すと、360度コックピットの内部から見える光景を確認できるようになっている。敵機も登場し、VRでその方向を見ることでロックオンするという設定もできるようになっていた。

VRコックピットも機体ごとに作り込まれているほか、膝元のMFDにレーダー画面が表示され、敵の位置を確認することができる。通常の「エースコンバット」では、一見性を重視してモニター画面に合成したような表示になっているが、今回はVRということでよりリアルにこだわっている部分でもある。

また、今回は体験できなかったが、敵を撃つだけではなく敵からの被弾で撃墜されると操作がきかなくなり、煙が出て火が出てくるといった演出も用意されているそうだ。ちなみに脱出に関しては検討したものの、酔いが激しくなるなどの理由から見送られているとのこと。

残念ながらこの「VRミッション 1」は、筆者が機体の操作を誤り海へと墜落させてしまい終了となった。

映画のようなド派手な演出が盛り込まれた「VRミッション 2」

「VRミッション 1」は東京ゲームショウ2018に出展されたものと同じだったが、続いて体験させてもらった「VRミッション 2」は、メディア向けとして公開されたものだ。

こちらは先ほどの「VRミッション 1」とはうって変わって、いきなり攻撃を受けている基地からスクランブル出撃し、その後敵機を倒して地上を攻撃するといったパートになっている。

僚機と友に滑走路に向かう途中も、敵の攻撃や味方の飛行機が落ちてくるなど、いかにも戦場といった感じの迫力溢れる演出が盛り込まれていた。

これまではミッションをVR化したものだったが、最後に体験したのが「VRエアショー」だ。こちらはいわゆる航空ショー的なものをVRで視聴できるモードである。

航空機の操作自体は行えないが、左スティックを倒すことで様々な視点に切り替えながらショーの様子を楽しめるようになっている。そのサイズ感もリアルなのだが、音や飛行機雲なども大きく回りを見渡しながら楽しめることができる。

ショーとして見られアクロバットは全部で22種類も用意されており、実際の航空ショーなどでは危険すぎて見られないものもあるそうだ。こうした部分も、VRならではといえそうである。

ちなみにこれらの「VRモード」には、専用のミッションブリーフィングや、クリアランク(戦績)がわかるリザルトも表示することができるとのこと。

VRの精鋭が集結して開発された「VRモード」

VRモードを体験させてもらったあと、本作の開発メンバーである河野一聡氏(「エースコンバット」シリーズブランドディレクター)、下元学氏(「エースコンバット7」プロデューサー)、玉置絢氏(「エースコンバット7」VRプロデューサー)の3名にお話を伺うことができた。

左から玉置絢氏、河野一聡氏、下元学氏

――VRモードについてですが、ひとつあたりのミッションはどれぐらいのプレイ時間を想定されていますか?

玉置氏:普通の人で15分~20分ぐらい掛かります。

――時間制限はありますか?

玉置氏:時間制限はありますがもっと長いですね。まだ調整中ですが、30分ぐらいです。

下元氏:難易度が複数ありますので、ご自身の腕前にあわせて調整できます。高い難易度のほうは、開発陣でもてこずるぐらいのものになっていて、結構落とされたりします(笑)。

河野氏::先ほど東京ゲームショウ2018に出展するものを遊んでいただきましたが、こちらは8分経つと終わるようになっています。前の時間帯に体験されたメディアの方は、ハンガーでずっと戦闘機を眺めていて、飛んだ瞬間に8分になって終わっていました(笑)。

――東京ゲームショウでもありえそうですね!

玉置氏:それぐらい、ミッションの前後も含めていろんな味の濃いものが入っています。そこでも全然楽しめるような体験になっています。

――VRモードを作るにあたって、苦労された点やこだわった部分はありますか?

玉置氏:まずVRで「エースコンバット」という、歴史もあってファンもたくさんいらっしゃるものを、どう再現するか? ところが一番重圧でした。そのときに、いろんな人からヒントをもらい、最終的に「本物のパイロット体験」に絞って作っていこうというところまで持っていきました。

その後も、ちょっとしたことでリアリティがなくなってしまい、「粗いから冷めた」というようなところがたくさん出てくるので、ひとつひとつ潰して磨き上げた体験にするというところも大変でしたね。

プレゼンテーションが目的なので、「VRだとあんなこともできる、こういうこともできる」という、いろんなアイデアを詰め込んでいます。内容を濃いものにしていくという、アイデアワークなどもこだわったところです。

「エースコンバット」ではない、ただの空飛ぶVRものになってはダメなんです。久々に発売されるナンバリングタイトルの中にちゃんと調和して入っている、ひとつの商品という形にすることが目的でした。そこのバランス取りに注力しています。

河野氏:製品全体で考えるとVRはサービスというか、お客様のみなさんに「ちょっと未来を先取りしてください」というサイズです。しかし玉置に言ったのは、そのサイズの中に「エースコンバット」でできる体験は全部詰め込んで欲しいということでした。どこか一点集中というよりは、未来を全部ちょっとずつでいいから詰め込んでと言ったことで、一番ひどい苦労の仕方をしたと思います(笑)。

玉置氏:似たようなミッション体験をたくさん作っているわけではなく、新たにイニシャルのコストが関わる個別の要素を、いっぱい詰め込んでいるんですね。そういった作り方は量産効果がきかないのですが、そういう意味では、非常に贅沢なものに仕上がっています。しかしそういった数々の要素が入っていることで、将来VRと「エースコンバット」の関わり合いはどうなっていくべきかということを、お客様に向けて占うことができます。これは今作でやるしかないなということで、やりました。

――先ほど実際に体験させて頂きましたが、アトラクションにあってもおかしくないレベルの完成度ですね。

河野氏:これとは別にキャンペーンの本編があるんですよね。ちょっと言い方は悪いですが、クレイジーな製品だと思います(笑)。今回は、どれだけお客さんを喜ばせなれるかと挑戦しています。

――コックピットの中にいて、乗り物が動いていく感覚はどのように調整されましたか?

玉置氏:一番気を付けなければいけないところは、快適なプレイフィーリングを保ちつつも空を飛んでいるという感覚を再現するというところです。最初に空母でタキシングするところなど、そのためのスピード調整をなんどもやり直しています。そうした細かい調整のこだわりに加えて、VRの経験があるメンバーが弊社でも増えており、ドリームチームというかエンジニア、デザイナー、ディレクターといろんなVRの知見を持ったメンバーが結集しています。迫力はあるけど、VRとしても快適に楽しめるアイデアがたくさん入っています。

河野氏:玉置は、「サマーレッスン」のプロデューサーなんです。

玉置氏:そうなんです。「サマーレッスン」を立案して作っています。VRモードのメインプログラマーも「サマーレッスン」のメインでしたし、ブリーフィング画面の立体的なUIを作っているのも「サマーレッスン」のUI担当者です。

ほかにも、業務用の歴史で培われてきたあるバーチャルな筐体があったのですが、その搭載ソフトの開発出身者がディレクターを担当しているなど、いろんな知見が入っています。

下元氏:VRへの知見・制作経験のあるスタッフはVRモードに、キャンペーンのほうは歴代の「エースコンバット」の開発に携わったメンバーを集めています。そのため開発チーム全体としては、これでもかというぐらい豪華な人選になっています。

――開発期間は結構長いのですか?

河野氏:開発期間はオープンにしていませんが、クラッシュ&ビルドが度々ありました。最初にできたVRは、左と真ん中と右の首固定で向くだけのものだったんです。

――最初今回のVRを体験させて頂くときに、ジェットコースターのようなものにのって回りを見るだけのものかと思っていました。

河野氏:首固定のものは作って全部捨てました。お客様への「エースコンバットの1つの未来の可能性をプレゼンテーションする」なので、相当こだわりました。

玉置氏:そのタイミングで私が参加しています。

下元氏:ゲームをクリアしてスタッフロールを見ていただくと、とんでもない人数だなと。

――スタッフロールの数は映画並みなんですか?

玉置氏:映画を超えています(笑)。

下元氏:プロデューサー陣も、最初は河野ひとりでスタートしましたが、お客様の期待に応えるために玉置と私が加わって、河野はクオリティ全体を見られるようにブランドディレクターに専念してもらい、プロデューサー業務は私が、VRのプロデュース業務は玉置が担当しています。

――これは個人的な感覚かもしれませんが、VRを体験したときにまったく酔いませんでした。何か気を使われたところはございますか?

玉置氏:酔い対策についてはノウハウの蓄積です。VRの開発者にはどんどんノウハウが蓄積されていくんです。というのも、開発中はまったく未調整の状態からプレイしますので、一番ひどい酔いを頻繁に体験する役回りになってしまうんです。そのため、VRの開発に長く関わると「こういうことをしたら酔いそう」というセンスが磨かれてきています。今回はそういった苦難を乗り越えてきた開発スタッフが何人もキーマンとして参加していますので、あまり時間を掛けずに最短で酔わないものができたと思っています。

あと「エースコンバット」という題材自体が良くて、車のように近くを見ていると酔いやすいのですが、ハイスピードで飛んでいて地面が離れているというのが酔いにくい理由です。あと、戦闘機の場合にはコックピットのフレームが視界の周りにありますが、相対的に動かないものがあることで酔いにくくなっています。

河野氏:遠くの真ん中を見ている時間が長いというゲーム性が、VR酔いの軽減になっています。最初戦闘機をVRにするといったときに、世間からは絶対に無理だと言われました。なので、(玉置氏に)絶対なんとかしろといいました(笑)。

玉置氏:9月10日にVRモードの動画を公開したときに、「酔いそうだな」という感想がユーザーからありました。絶対酔わないとはいえませんが、実際に客観的な調査も何度か行っており、酔わなかったという感想の方の方が圧倒的に多かったんです。

下元氏:戦闘に集中していると比較的に酔いにくいので、まず戦い方をキャンペーンでしっかり身につけた後にVRを遊んでいただくと酔いにくくなると思います。

――キャンペーンモードの操作感覚は、VRモードにも反映されていますか?

下元氏:空間認識能力をキャンペーンで高めていただくと、VRモードでもその部分を補うことができると思います。

河野氏:最初は、ユーザーがエースパイロットになるまではVRをアンロックしないといっていましたが、ふたりに反対されて(一同笑)。

――最初から全て遊べるようにはなっていますか?

下元氏:遊べます。オススメはキャンペーンをしっかりと遊んでいただいてからVRを遊んでもらうのがいいですね。

――ちなみにPC用にVRモードを出される予定はありますか?

玉置氏:今のところ予定はありません。同じVR機器に見えますが、「空を飛んでいるのに酔いにくい」とか「本当のパイロットになれる」といったレベルまで、商品としてブラッシュアップするには、ハードの違いというものは結構大きいんです。メンバー自体も「サマーレッスン」などPS VRのノウハウに基づいた経験があるので、そちらに寄せて作っています。

――今回実装されなかったコンテンツはありますか?

河野氏:まず、今回「本物のパイロット体験」という意味では全部の体験を入れています。そのうえで、そこから拡張するということであれば、いくらでもあります。

玉置氏:そうですね。本物のパイロット体験をするという目的に対しては、頭からお尻まで一通り入っており、何か抜けているというものがあるとは思っていません。VRと「エースコンバット」の組み合わせという根本の部分をプレゼンテーションするのが、今回のテーマになっています。

――機体のデティール感がスゴかったのですが、通常よりもデータ量は多くなっていますか?

玉置氏:多いです。外側も作り込んでおり、職人的なアーティストが大量の資料を見ながら作っています。さらにコックピットは一番近いところにあるので、一番ディテールを求められます。つまみの深さや、どのような出っ張りなのか、モニターの質感がどういう感じなのか、そうした部分も全て作り込んでいます。

質感はVRではわからないところもありますが、逃げられないところでもあるので、そこは本物と違うという風にならないように作り込んでいます。これは開発に携わったアーティストの、努力の賜だと思います。

河野氏:VRが頑張るから、フラットモニターの方も(笑)。

下元氏:同じゲームなのでVRと差があるといけないので、VRがクオリティを上げると、ゲーム全編を通してあげていく必要があります。ボリューム的には本編となるキャンペーンやオンラインと手を入れる部分はたくさんあるので、VRで品質が上がったものに関してゲーム全体を上げてといった作業がありました(笑)。

戦闘機に関しては、すべて本物の航空機を作っているメーカーから監修を受けています。内部の電子部品ひとつでも、これで間違いないですか? と確認しながら作っています。よくあるのが、「実はそのパーツ、昨年リニューアルしたんですよね」という情報が来て作り直しています。開発の途中でも、最初に作ったモデルデータは古くなってしまい、差し替えが起きています。

――リリースされるのはどの時点のデータになりますか?

下元氏:マスターアップ直前のもう最新のものですね。

――それは、航空機マニアの人も楽しめそうですね!

玉置氏:本当に細かいところまで作り込んでいます。

――お話を伺っていると、キャンペーンもVRも、どちらも引き上げていったという感じですが、どれに時間が掛かったというよりもすべてにおいて製品として届けるということを意識されている感じがします。

河野氏:お客様の期待されているパフォーマンス・品質・クオリティを担保するというところに時間が掛かりました。

玉置氏:「エースコンバット」のファンは、皆様イイ方……というか「愛が深い」ので、それになるべく応えようという気持ちが原動力になっています。VRも含めて、新しく遊んで頂けるお客様にも楽しんでもらえるように、いろんな工夫をしています。

下元氏:河野はクオリティの鬼なんですよ。クラッシュ&ビルドのとくにクラッシュが大好きでして(一同笑)。

玉置氏:クラッシュに対しての容赦がないんです。「ここまで作ったものをカットするのはスタッフが可哀想」というのがありません。

下元氏:お客様のためには内部の苦しみに情は掛けない。それには開発スタッフも賛同して、今日まで頑張ってお客様に自信を持って出せるところまできました。

河野氏:お客様の気持ちは、最終的に自分たちに返ってきますから。

――本日はありがとうございました!

※画面は開発中のものです。

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