千葉・幕張メッセにて9月20日より開催中の東京ゲームショウ2018。会期中、「DEAD OR ALIVE 6」のプロデューサー兼ディレクター・新堀洋平氏にインタビューする機会が得られたので、その内容を紹介する。
コーエーテクモゲームスが2019年2月15日に発売する格闘ゲーム「DEAD OR ALIVE 6」は、前作から実に約7年ぶりとなるシリーズ最新作。PS4/Xbox One/Steamで発売される本作では、グラフィックや表現が進化しただけでなく、必殺技ゲージを採用、さらにボタンを連続で押すだけでコンボを繰り出せる「フェイタルラッシュ」など、随所に新要素が見られる。
今回は、東京ゲームショウ2018でステージイベントにも登壇しているプロデューサー・新堀洋平氏にインタビューを敢行。7年の時が経過する中でどんな変化があったのか、そして昨今のトレンドにもなっているe-Sportsとの付き合いかたなど、気になる質問をぶつけた。
――新作としては7年ぶりと、かなりの期間が空くことになりましたね。
新堀氏:おかげさまで前作の「DEAD OR ALIVE 5」、そして「DEAD OR ALIVE 5 Last Round」が成功し続けまして、その影響もあってなかなか次の作品を作れなかったのが正直なところです。会社として成功しているタイトルを続けるのは当然なんですけど、気が付いたらこれだけの期間が空くことになりました。
――これだけの時間があると、新作のアイディアも相当溜まったのではないでしょうか。
新堀氏:それは確かにありました(笑)。ゲーム業界は早いもの勝ちなところがあって、新しい格闘ゲームもどんどん出てきますからね。こちらとしても、少しでも早く出したかった思いはあります。ただ、この間に新しいゲームエンジンの開発も進んで、本格的に導入することもできました。水面下でいろいろな挑戦ができたので、決してマイナスの面だけではなかったです。
――温めていたアイディアが、「DEAD OR ALIVE 6」に活かされている部分はありますが?
新堀氏:試したいと前々から思っていたのは必殺技の「ブレイクゲージ」です。どうしたら格闘ゲームを簡単にできるか、初心者の方にも遊んでもらえるかを考えていて、必殺技を打てるタイミングが視覚的に分かるようにしたのは大きな変化です。
――ボタンひとつでコンボが繋がる「フェイタルラッシュ」といい、初心者に目を向けている印象があります。
新堀氏:この5、6年間はずっと初心者の遊び方を注視していました。初心者たちは強い人に負けて、悔しい思いをしているわけじゃないですか。そんな人たちが楽しめるかを考えた結果、まずは操作が簡単なこと、だんだん上手くなれる感覚を大事にしました。
――それだけのことをするということは、初心者が増えている手応えもあると。
新堀氏:特に大きかったのは「DEAD OR ALIVE 5 Last Round」のとき、マリー・ローズやほのかを収録したタイミングです。「この子がかわいいから、とりあえず遊んでみよう」といったキャラクター人気が後押ししてくれました。それに加えて基本無料版もリリースし、手軽に遊べるようにしたのも要因として挙げられます。
――キャラクター人気という意味では、「DEAD OR ALIVE Xtreme 3」や、DMMで運営している「DEAD OR ALIVE Xtreme Venus Vacation」がきっかけになった可能性もあるのでは?
新堀氏:あるかもしれませんね。同じキャラクターといっても本編とスピンオフでやっていることがまったく違うので、ちょっと驚くかもしれませんけど。本編で激しいバトルを体験したあと、もう一回南の島に戻るとキャラクターへの愛情も増すかもしれません。そういう意味ではぜひ両方遊んで、ギャップを楽しんでほしいですね。
――キャラクターのほうだと、技や動きに前作から変化している点はありますか?
新堀氏:全キャラクターに新しいなにかを加えましたが、そこまで大きな変化はないです。どちらかというと長所を伸ばしたり、短所を埋めたりといった作業のほうがメインでしたね。大幅な変化があると、今までプレイしてきた人が遊べなくなってしまいますから。
――ちなみにキャラクターは何人くらいが登場するのでしょう。
新堀氏:全体のボリュームはまだ教えることはできません。でも、ここまでの発表でなんとなく想像がつく人もいるかも知れませんね。
――最強パッケージの特典で3Dマウスパッドになるという新女性キャラも気になります。
新堀氏:完全に新規のキャラクターで、ゲームが発売されたら最初からプレイアブルで使うことができます。もちろん彼女をメインにしたストーリーも用意されています。
――TGS 2018では試遊出展されていますが、こちらの反響はいかがですか。
新堀氏:声を聞いて思うのは、実際に遊ぶ前と後で印象が違う、と話す人が多いことです。「DEAD OR ALIVE」シリーズではいつもそうなんですけど、実物を見たときの迫力、グラフィックの色合いは動画で見るのとは違うんですよね。TGSでも迫力を体感していただいてるみたいで、とてもいい感触です。
――試遊で人気のキャラクターは?
新堀氏:見ている限りではほのかとあやねの人気が上がっている気がします。あやねは動きのキレも増していますし、ほのかは技が増えたことで触ってみたいと思う人が多いのかもしれません。あとは…ちゃんと揺れているかを確認するために女性キャラを選んでいるのかもしれないですね(笑)。
――(笑)。ビジュアル面で言えば、汗や汚れといった表現もさらに進化していると思います。
新堀氏:汗は前作からかきましたけど、その表現力が上がっています。今まではテクスチャーで書いただけだったのが、実際に濡れているような、透明感のある汗になっています。あとは顔にも汚れがつくようになりましたし、傷ができるのも前作との違いです。闘っている以上は傷をつけたい気持ちは昔からあって、ようやく今回から表現することができました。もちろん、そういった表現が苦手な人のために完全にオフにする機能も備えています。
――ステージのギミックで注目してほしいポイントはありますか?
新堀氏:こだわって作ったのは人間以外の大きな生物です。恐竜とかクラーケンとかを作っているのはうちしかないと思います(笑)。クラーケンの触手のニュルっとした動きは作るのに苦労した分、注目してもらいたいですね。
――ギミックが発動させるためのコツがあれば教えてもらえますか。
新堀氏:まず、ギミックはどれも対戦相手を吹き飛ばして、衝撃を与えることから始まります。ですから対戦を繰り返して、発動のきっかけになる場所を覚えるべきです。覚えたら今度は、そこに向かって相手を飛ばせるように位置取りをすることです。上手い人のプレイを見ていると、積極的に移動して、相手を誘導しているんですよね。コンボなどのテクニックだけでなく、場所の取り合いも勝敗を左右するのは「DEAD OR ALIVE」の魅力だと思います。
――ステージのバリエーションに関しても、今後発表されていくのでしょうか。
新堀氏:そうですね。現時点では4種類を発表していますが、まだ半分も発表していません。どのステージにもギミックは用意されているので、楽しみにお待ちください。
――格闘ゲームに限らず、最近の対戦ゲームはe-Sportsが大きな流行になっています。この流れは「DEAD OR ALIVE」にも影響を与えているのでしょうか。
新堀氏:追い風は感じますよ。それはもう突風と言っていいくらいの(笑)。ただ、「DEAD OR ALIVE」は競技というよりエンターテインメントだと考えていて、あくまでもエンターテインメントのひとつとして対戦を盛り上げていきたいです。もちろんこの突風を無駄にする気もなく、発売後には大会など、なにか施策を提供したいですね。
――一方で、日本国内だと今ひとつe-Sportsが盛り上がりに欠けるとも感じます。新堀さんはどんな課題があると考えていますか?
新堀氏:まずは賞金の問題ですけど、これは法の整備が整い、不可能ではなくなってきました。僕が一番の課題と感じるのは、ゲームの立ち位置が日本と海外で違いがあることです。海外では以前から競技として認識されていたのに対して、日本では遊びの領域を抜け出せていないというか。野球やサッカーといったスポーツだけでなく、テーブルの上で行う競技もたくさんあります。その中のひとつとして認めてもらう動きが必要ですね。
――発売後の話になりますが、ダウンロードコンテンツについてはなにか考えているのですか?
新堀氏:そろそろ考えなければと思っているところです。まだディスクに入れるコンテンツが100%終わっていない状態で、それが一通り終わってから着手しようと考えています。基本無料版を配信すると決めた以上は、長く遊んでいただけるよう、DLCにもこだわりを持って取り組んでいこうと考えています。
――最後に、発売が約半年に迫る中で、どんなところに注目してほしいか、あらためてメッセージをお願いします。
新堀氏:とても難しく、かつ良い質問ですね。というのも、僕としてはファンの皆さんそれぞれが期待しているところに注目してもらえれば、それで問題ないと思っているんです。「DEAD OR ALIVE 6」は対戦ゲームとしての魅力もあるし、ステージのギミックという独自の要素もあります。かわいい女の子が見たいなら、そこだけを見たって大丈夫です。皆さんが期待することにひとつずつ応えられるゲームなので、自由な観点で注目してもらえると嬉しいです。
――ありがとうございました。





