自称「ゲームソムリエ」の津久井箇人 a.k.a. そそそが、オススメのダウンロードゲームを紹介する連載企画「そそそのダウンロードゲームれこめんど」。第4回はAttu Games開発、レイニーフロッグから発売中のNintendo Switch用ダウンロードゲーム「ブリキの騎士」を紹介!
Gamerをご覧の皆さん、こんにちは。ネット界隈で「そそそ」と呼ばれているゲーム大好き音楽クリエイターの津久井箇人です。“どんな人にハマるゲームか”を実際にプレイしてお伝えしていくゲームプレイレポート【そそそのダウンロードゲームれこめんど】略して【そそれこ】の時間がやってまいりました。
世間は春休みですね。4月から始まる新生活の準備をしているという人も多いのではないでしょうか。新しい環境で送る生活には手探りなことも多く、期待と不安が入り混じるものです。今回紹介する「ブリキの騎士」も、未知の世界へと飛び出し、手探りで前進していくゲームです。人生でもゲームでも、トライ&エラーって大事です!
「ブリキの騎士」ってどんなゲーム?
ロボットの「アッツ」を操作して、広大なステージを探索・攻略していく「メトロイドヴァニア」(「メトロイド」と「悪魔城ドラキュラ(キャッスルヴァニア)」から生まれた横スクロール探索アクションアドベンチャージャンルの総称)の要素が色濃い「アクションRPG」です。
「ロボット盗賊団」による襲撃をうけた村をもとの平和な村に戻すため、農業ロボットである「アッツ」が剣を手に立ち上がります。
優しいグラフィック、歯応えのあるゲーム
メトロイドヴァニアなアクションアドベンチャー要素
ステージ単位で進めていくアクションゲームとは異なり、広大なひとつのマップを探索しながら進んでいきます。探索中に発見する「チップ」によって新しいアクションを手に入れると、壊せるものが増えたり、行けなかった場所に行けるようになったりと、行動範囲が少しずつ広がっていきます。ベースにある要素はしっかりと「メトロイドヴァニア」です。
もちろん、進むべき道が閉ざされていたり、隠されていたりすることもしばしば。そのとき取れるあらゆる行動でトライ&エラーを繰り返し、未探索エリアへと進んでいく「メトロイドヴァニア」ならではの快感がしっかり味わえます。
RPGな成長システム
プレイヤーである「アッツ」が、経験値を貯めてレベルアップできる点や、自身の身体のパーツを取り替えて強化できる点などはかなりRPG的です。強化する方向性をパーツやスキルツリーによって、ある程度自分好みにカスタマイズできる点はロボットならでは。
パーツは、ショップで購入したり、ステージ中に点在する宝箱などから入手できたりします。パーツごとに効果が違うので、プレイヤーの苦手な部分を補うか、得意な部分をより伸ばすかといったところでなかなか悩みます。見た目にも反映されるので、見た目重視という選択肢ももちろんあり。
スキルツリーは、レベルアップによって強化できます。重点的に強化したい方向性を選べば、パーツとあわせて、少しずつ自分好みの「アッツ」になっていくことでしょう。
ロボットならではの不自由さ
主人公「アッツ」は、あくまでも農業用のロボットであり、戦闘や冒険に特化したロボットではありません。そのため、剣で敵を倒すのもけっこう苦労するバランスとなっています。特筆すべきシステムは「オーバーヒート」。連続して「攻撃」を含む特殊なアクションを行うと、熱を示すメーターが上がっていき、振り切れると移動とジャンプ以外できなくなるオーバーヒート状態になってしまいます。
オーバーヒートは、時間経過で収まりますが、敵との連続戦闘時などは、無駄な行動を取らないように工夫したり、間合いを取って常にオーバーヒートしないように心掛けたり、さまざまな注意が必要です。敵に囲まれた状態でオーバーヒートしてしまうと一気に大ピンチに陥ってしまいます。
オイルと冷却液で有利な状況を作る
ショップ購入を含めたさまざまな方法で手に入る「オイル」と「冷却液」は、セットすればワンボタンで使用できる程度に「攻略に重要」あるいは「ゲームバランスを取る」アイテムです。
体力が尽きてしまうと中間ポイントまで戻されてしまいます。せっかく未知の領域に辿り着いても、良いところで体力がなくなって一気に場所が戻ってしまう……「メトロイドヴァニアあるある」ですが、「オイル」を使えば一定量体力が回復できます。ここぞという場面で使って、有利に攻略していきたいところ。
「冷却液」は一定時間「オーバーヒート」を防ぐアイテムです。敵に囲まれてしまったとき、特殊なアクションを連続で使いたいときなどに使用すると、うまくピンチを切り抜けられるはず。2つのアイテムは比較的容易に手に入るので、縛りプレイなどでない限り、積極的に使っていきましょう。
気になったところ
セーブされているかわかりにくい
中間ポイントのオブジェを調べると、体力回復&セーブとなるのですが、「セーブ中」といった表示が一切出ないため、「ちゃんとセーブされたか」「ちゃんと再開地点になったか」と不安になります。オブジェそのものはもちろん、画面の表示ももう少しわかりやすくしてほしかったです。
経験値がなかなか貯まらない
経験値は、敵を倒して落ちた部品を拾うことで獲得できるのですが、レベルアップに必要な経験値が多すぎる気がします。プレイヤー自身のプレイスキルで乗り切れない部分をカバーするためにも、スキルツリーによるパワーアップは本作で重要な要素だと思うのですが、そこに辿り着くまでの道のりが長く、救済措置としてうまく機能していないように感じました。
**ストーリーが薄い
ゲームを楽しむ上でさほど重要な点ではないものの、不思議な世界観や設定などがイマイチ読み取れなかったです。
総評:ふんわりとした見た目とは裏腹な、かなりの骨太ゲーム!
「メトロイドヴァニア」の基本的な爽快感をしっかり抑えている点で、そのジャンルが好きな人に安心してオススメできるゲームタイトルと言えそうです。ゲームボリュームもかなりあり、アクションゲームとしての難易度も比較的高め。温かみのある手書き風グラフィックですが、その本質はかなり骨太なゲームとなっています。
「オーバーヒート」がゲーム性として「面白い」と感じるか「ストレス」と感じるかは人それぞれだと思います。制限のある中で、一時後退を含めてどんな行動を取ることが最善か、咄嗟の判断が求められます。体力を回復する「オイル」、「オーバーヒート」を防ぐ「冷却液」といったアイテムの使い所も含めて判断しなければなりません。そのため、勢い任せの無双プレイでは本作の攻略は難しいでしょう。
RPG的な成長要素もたしかにあり、それによって有利にゲームをプレイできることは間違いありませんが、最終的にはプレイヤーの腕にすべてがかかってくるゲームです。ゲームの完成度も高く、「メトロイドヴァニア」を中心としたアクションゲームが得意な人であれば、1500円で非常にコストパフォーマンスの良いゲーム体験ができるはずです。
こんな人にオススメ!
- メトロイドヴァニア(横スクロール探索アクション)が好きな人
細かな探索とトライ&エラーで徐々に行動範囲が広がるマップがたまりません。 - 骨太なゲームが好きな人
アクションゲームとしてもなかなかの難易度の高さでボリュームもたっぷりです。 - メトロイドヴァニアをこれから始めてみたい人
RPG要素や見た目の雰囲気で、プレイのハードルが良い意味で下がっています。
RPG要素がある点については、ある意味では「とっつきやすさ」でもあります。「メトロイドヴァニア」というジャンルは、固定ファンがしっかりいて、探索やアクションを楽しむ人向けにしっかりと照準を定めて完成されていることがほとんどですが、本作はRPG要素によってその間口が広がっているようにも感じました。そのため、初めてプレイする「メトロイドヴァニア」としてもオススメできるタイトルと言えそうです。
【そそれこ】第4回、いかがだったでしょうか。個人的に忙しい時期が続いており、なかなかゲームをプレイする時間が確保できていません……!年度末商戦からGWにかけても注目タイトルが目白押しなので、なんとか時間を確保していろいろ楽しみたいと思います!次回もどうぞお楽しみに!
プロフィール
津久井箇人 a.k.a. そそそ
自称「ゲームソムリエ」として、さまざまなウェブメディアでゲームプレイレポートを執筆。物心付いた頃にはMSXでゲームをプレイしていた根っからのゲーム好き。一方で、アーティスト・声優・ボカロの楽曲を手掛ける作曲家としても活動中。エンタテインメントにおけるプロとインディーの垣根を越えた活動を模索し続けており、近年は自身が代表を務めるサークルである創作集団「S-TRIBE」にてバーチャルYouTuberのプロデュースも行っている。
https://twitter.com/sososo291
■エンタメ創作集団 S-TRIBE 公式サイト
https://s-tri.be/
■エンタメ創作集団 S-TRIBE YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/STRIBE
My Nintendo Store - ブリキの騎士
https://ec.nintendo.com/JP/ja/titles/70010000016127