本日2020年2月27日に発売された「Frostpunk」を直感赴くままに10時間プレイしてみましたので、その状況をゆるく正直に正確に、そして、なんとなくモヤっと伝えていきます。
「Frostpunk」は、公式サイトを開くと最初に「凍てついた大地に地球最後の都市を築け」のキャッチが飛び込んでくるように、極寒の地で生き残りを目指すゲーム。
この手のタイプのゲームはこの連載ではなかなか取り扱っていなかったのですが、記事にするかどうかは別にして、純粋に遊んでみたいという気持ちの高まりが編集さんに伝わったようで、発売前にソフトをプレイできる環境を頂くことができました。
日本という国は、地震大国と呼ばれながらも、この数年は台風による災害も多く、今年に至っては新型コロナウイルスによって、現在でも見えない恐怖に見舞われている状況にあります。
地域であれ、国であれ、災害に見舞われた時には、どのような対応をしても批判が出てくるのですが、どんなに無責任に批判をしたところで、自分が采配を振るったらどのような結果になるかは体験することはできません。しかし、ゲームであれば、何度でもシミュレーションをすることができます。いずれ自らが政治の力を振るうような場面があれば(絶対にないけど)、そのときには成功できるように、早速「Frostpunk」をプレイすることにします。
1.不勉強な政治家の見識で2時間半経過
2.無責任な解説者のノリで6時間経過
3.頭でっかちな学者の気分で8時間経過
4.付け焼き刃を痛感して10時間経過
5.そして、まとまらないまとめ
不勉強な政治家の見識で2時間半経過
「Frostpunk」は、極寒の極限状態の都市を死守する都市運営社会派サバイバルシミュレーションゲーム。タイトル画面の吹雪を見ているだけで、リアルな冬の寒さ以上の寒さが伝わってくるのですが、メインメニューを見るとさらに寒々とした雰囲気が伝わってきます。
吹雪の先にいる住民の姿が見えてきて、更に寒気が止まらなくなるのですが、ここはまず「新しい家」を選んでゲームを始めます。ロード中には操作説明が出るため、冷静に操作方法を把握しておきましょう。
「新しい家」シナリオを始めると、冒頭で人々がなぜ極寒の地で生活することになったか知ることができます。
独特なビジュアルで、深刻な状況を知るに至ります。
そして、本当に寒そうな地で「地上最後の街」を築いていくことになります。
最初に用意されている地は、壁に囲まれた円形の地で、寒々とした土地の中では比較的棲みやすそうに見えます。
都合よく円形の地の真ん中には「ジェネレーター」があるため、ジェネレーターを起動する人々を誘導することになります。
カーソルを動かすと、「集積所」を発見。どうやら、人々に「集積所」でモノを集めさせ、「ジェネレーター」を中心とする地で、火をくべ、食料を取り、生活をしていくことになりそうです。
さらにカーソルを動かしてみると、「石炭パイル」が見つかったので、労働者をじゃんじゃん投入して石炭を備蓄していきます。ゲーム内容的には神視点のゲームになっているのですが、プレイヤー自身もここに住む一人なので、生命活動の維持は必須要件になります。なので、生命線となる素材の備蓄は絶対に死守しなくてはなりません。
石炭が溜まったら「ジェネレーター」をオンにすることで、どうにか最低限の生活をできる場を手に入れることができました。しかし、まだまだ安心することはできません。なぜなら、現状はまだ雪の降る公園の真ん中で、焚き火にあたっているようなもの。焼き芋がなければ腹を満たすことはできませんし、そもそも寝床すらもありません。
石炭であれば人々に指示を与えれば取ってきてくれるのですが、食料は指示を与えるだけでは手に入りません。「ハンター小屋」を建てて人を割り当てれば狩猟が始まり、「調理場」を建てて人を割り当てれば食材を使って食事を用意してくれるようになります。建物を建てて、人を割り当てることが、このゲームのシンプルな流れだと把握しておきましょう。
建物をじゃんじゃん建てていけばいいのか、と思うも、そう簡単にはいきません。実は最初に建てた建物は備蓄にあった木材を使用していたため、ここから先は「木材クレート」から木材の回収が必要になります。
現在のところ、「石炭パイル」「木材クレート」「ハンター小屋」「調理場」の4か所に人を割り当てる必要があります。「石炭」と「食料」はどちらもなければ生きていけませんし、かといって「木材」がないと、何も建造物を建てることができません。贅沢をしたいわけではないけど、「ハンター小屋」も「調理場」も立派な建物なのに寒さをしのぐことには使用できないため、シェルターの建設が急務となります。
いざ「テント」を建てようとすると「木材」が足りなくて右往左往。しかも、「テント」は1つ作っても10人しか入れないため、8つの「テント」を建てなくてはなりません。手遅れになると必要な「テント」の数が“少なくなる”という話もありますが……、不吉なことを言っている場合ではありません。しかし、十分に「石炭」を備蓄しつつ、「木材」を調達していき、さっさと「テント」を建てるには人が……。
ちなみに、画面の真ん中下を見ると「不満」と「希望」が視覚的に確認しやすくなっていて、最初は「希望」を持ってこの地にたどり着いた人々も、次第に「不満」が高まっていきます。吹きっさらしで生活をすることはできないため、「不満」は高まり、具合が悪くなればさらに「不満」は溜まっていきます。家アイコンが吹きっさらしの人、ナイフとフォークのアイコンが飢餓の人、十字のアイコンが病気の人の数になります。
「法律」で「緊急シフト」を発動すれば、無理矢理働かせることはできるのですが、ここは何もせずに様子を見ることにしましょう。地道な積み重ねでどうにか住民を一通りシェルターに入れることに成功しました。
これでしばらくは順調に作業を進められるかと思えば、すでに病気になっていた人が「凍傷」によって危篤になってしまいました。
病気になった人が現れたら「救護所」の設置が急務ですが、その一方で、技術を進歩させないと全員がバタバタと倒れていくことになってしまうため、「ワークショップ」も建てなくてはなりません。いずれにしても建物を増やしていくためには人が必要で……。
「ジェネレーター」をぐるりと建物が囲むようにして街が形成されていくのですが、ジェネレーターから離れた場所に建物を建てる際には道路を作らなくてはならず、道路を作るためにもやっぱり木材が必要になるし、時には人々が要求してくるし……。
人が病気になれば、その人をフォローするための人が必要になり、かといって日常を過ごすためにも労力も必要です。ジェネレーターの周辺にある石炭や木材、鉄といった素材も枯渇していくため、外へと望みをかけることになります。
……と、やりたいこととやらなくてはならないことが綯い交ぜになったままで進行し、付け足しに付け足しを重ねて街が形成されていきます。
そして、自転車操業で進行する中で、人々の希望が無くなり、不満が溜まってくると、ついに終わりを迎えます。
その後、彼らがどのように街を発展させたか、はたまた望まれない結末を迎えたかは誰にもわかりません。
無責任な解説者のノリで6時間経過
気を取り直して2回目のプレイでは、「エンドレスモード」をプレイしてみます。
「エンドレスモード」では、厳しい状況での生き残りを目指す「忍耐」と、たくさんの資源を導入できる「平穏」から挑戦したいスタイルを選んでプレイができるようになっているので、ここでは建設者用の「平穏」を選んでプレイを進めます。
「険しい山々」「渓谷」「平地」「クレーター」の4つのマップがあります。
難易度も自由に選ぶことができます。
1回目のプレイでかなり不甲斐ないプレイを見せてしまったため、あまり難しいマップに挑戦することはできません。「険しい山々」を難易度「イージー」に設定してプレイしていきます。
現れたマップは、「新しい家」シナリオと同じく「ジェネレーター」があるマップなのですが、「ジェネレーター」の周辺にはいろいろと障害物があります。
とりあえず「ジェネレーター」を囲む1周目の建造物は一通り建てることができるのですが、その先は道路を繋いで効率よくマップを形成していく必要があります。
全体的に難易度を落としたことで、それなりに効率よく街を発展させていくことができつつも、初期の状態で街のビジョンを作っていなかったこともあり、その場その場の対応が多く、街はどんどんいびつな形になっていきます。
それでも、かなり心にゆとりがあるため、「ワークショップ」で「テクノロジーツリー」を効率よく発展させていくことができます。
1回目のプレイでは素材関係の確保にかなり苦労をしたため、「製材所」も早々と投入し、前回は研究にすら至らなかった「炭鉱」も導入、「テント」をより快適に生活ができる「宿泊小屋」に建て替えていくなど、細かいところにもしっかりとフォローすることができました。
外部の探索やスカウトも積極的に進めていきます。
15日目の「最初の嵐」をどうにか耐えて、その後も街を発展させていき、26日目にしてなんとなく自信が付いたので、「エンドレスモード」はこの辺で1度終わりにします。
頭でっかちな学者の気分で8時間経過
改めてシナリオ「新しい家」に挑戦します。
「エンドレスモード」では難易度を緩くしながらも効率よく街を発展させていく方法がある程度理解できた(つもりになっている)ので、さっさとプレイを進めていきます。時間経過については、画面左上の「勤務時間」の左側に停止から早送りまで4段階のスピードが表示されているため、何もやることがない夜などは最高速で早送りをして、考える時には停止をするようにすると、効率よく攻略することができます。
しかし、効率よくやろうとすると、人が足りないという問題に直面しました。以前のプレイでは子どもの扱いについてはあいまいにしていたのですが、今回は早々に「児童労働」の「法律」を通してしまい、労働力を確保しました。生きるか死ぬかという大変過酷な状況ではあるのですが、それでも少し心が痛みます。
子どもを働かせるということは、ケガをするというリスクもあり、因果関係から政治の難しさを実感することになります。
過去のプレイをフィードバックして今回のプレイに活かそうとすると、どうしても先走りをしてしまうことがあり、ついついできると思って約束をしてしまい、約束を破ることから「不満」を高めてしまいます。
人が増えるとシェルターが必要になるも、「ジェネレーター」から離れた場所にシェルターを作ると生活するには不便という問題があり、発展に応じた発想の転換が必要なことを思い知らされます。
そして、前回よりも急速に街を発展させたはずが、速いペースで人々の不満が高まり、希望が失われた結果、12日目に終わりを迎えました。
付け焼き刃を痛感して10時間経過
今度こそ、と思いながら改めて「新しい家」をプレイ。
今度はあまり先走らないように気を付けながら、効率の良いプレイに徹したつもりが、またもバランスの悪いことをやってしまった結果、肝心の石炭不足で「ジェネレーター」がシャットダウンをするという悲しき状況。
早々に人々の不満が高まり、希望が損なわれる絶望的な状況の中、タイミングの悪い報告があり、人々は更に絶望的な状況になってしまいました。
これまで手を出したくなかった「宗教」にすがることにするのですが……。
既に希望が全くない現状をどうすることもできません。
時間をかけて少しずつ希望を持てる状況を作っていったのですが……。
どうやら希望がちょっと足りなかったようで、やはり追い出されてしまったところで10時間が経過しました。
そして、まとまらないまとめ
「Frostpunk」は、プレイすればするほど、政治家や専門家の置かれている状況の厳しさを実感できるゲームでした。未知の状況に対してどのようにして対応していくか、その対応力が常に問われます。
得てしてこの手のシミュレーションゲームの場合は人を人として見ず、数が減っても補給できるモノのように扱ってしまうことはよくあるのですが、本作では人が苦しんでいくところがはっきりとわかってしまうため、なかなか冷徹な判断が下せません。限られたリソースを使って何をするか、何ができるかを冷静に判断して行動することが求められます。
死亡した際にも名前が表示されるため、申し訳ない気持ちが高まります。
重病人の扱いについては、「荒療治」と「生命の維持」のどちらの「法律」を施行してもあまり救われる未来がないし、場合によっては施設を作らず完全放置をすることもできるのですが、どうしても良心を持って判断したくなり、悩まされることになります。
食料面でピンチになったら、「法律」で対応することができるので、「スープ」を導入するか「食品添加物」で対応するか……こういった考え方はリアルな生活にフィードバックできるような気がします。
住居の近くに黙々と煙の上がる建物を建ててもいいのか悩んだのですが、この辺りは状況と技術を考えるとやむを得ないのかなぁ、と大変勉強になります。
そして、今回のプレイで一番厄介だったのが、人が増えれば増えたで生活ができるシェルターの確保が大変で、街の発展と素材の確保と技術の発展と……と全てにおいてバランスよく進めなくてはならないことに、奥深さを感じることができました。
大寒波により崩壊したロンドンから逃げ延びた人々を助けるために力をふるうプレイと、イギリス船籍のダイヤモンド・プリンセスに対応する日本の政府の現実がモロに重なってしまったプレイだったこともあり、心に響く10時間のプレイでした。
ちなみに、「難易度を落とせばもっとサクサクと攻略できるんじゃね」と軽い気持ちで再度シナリオ「新しい家」を高速プレイしてみたのですが、そう簡単にはいきませんでした。ゲームであっても、生きていくためには常に真剣な態度が必要なのです。
プロフィール
酒缶(さけかん)/ゲームコレクター
15000種類以上のゲームソフトを所有するゲームコレクターをしつつ、フリーの立場でゲームの開発やライターなど、いろいろやりながらゲーム業界内にこっそり生息中。
「東京エンカウント弐」にゲームアドバイザーとして協力。関わったゲームソフトは3DSダウンロードソフトウェア「ダンジョンRPG ピクダン2」「謎解きメイズからの脱出」など多数。価格コムでは、ゲームソフトのプロフェッショナルレビュアーを担当している。
■公式サイト「酒缶のゲーム通信」
http://www.sakekan.com/
■twitterアカウント
http://twitter.com/sakekangame
■ブログ「パッケージゲームを死ぬまで遊ぶログ(略称:パケログ)」
https://sakekan.themedia.jp/
■YouTubeチャンネル「SAKEKAN GAME Re:COLLECTION」
https://www.youtube.com/user/sakekangame/
■電子書籍『パケヤロウ!123【い】』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0852GKBS1/
■電子書籍『ゲームコレクター・酒缶の時事問題にはゲームを 令和二年 ゆくゴーンくるコロナ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B084TX72NG/
■電子書籍『ゲームコレクター・酒缶のレイド・オン・ナンバリングベイ 20世紀に活躍したシリーズをパッケージや取扱説明書から読み解く』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B083G12L1W/
Published in Japan by DMM GAMES. 2019 (C) 11 BIT STUDIOS S.A., FROSTPUNK and 11 BIT STUDIOS are trademarks and/or registered trademarks of 11 BIT STUDIOS. All other marks and trademarks are the property of their respective owners. All rights reserved.
※画面は開発中のものです。
本コンテンツは、掲載するECサイトやメーカー等から収益を得ている場合があります。












































































































