Blizzard EntertainmentがPS5/Xbox Series X/Xbox One/PC向けに開発中の「ディアブロ IV」の合同インタビューがメディア向けに行われた。本作のコンセプトやゲームの要素など、基本的なものから細かい仕様まで、さまざまな質問が飛び交ったインタビューの様子をお届けする。

クォータービューのハック&スラッシュとして、最高級の人気を誇る「ディアブロ」シリーズ。その最新作こそ、現在開発が進められてる「ディアブロ IV」だ。今回、メディア向けのテストビルドを触れることができ、それをもとに開発者へのインタビューを行った。

テストビルトのプレイレポート記事も公開されているため、「ディアブロ IV」についての詳しい紹介はそちらを参照してほしい。

今回インタビューに応じてくれたのは、アソシエイトゲームディレクターのJoseph Piepiora氏と、リードゲームデザイナーのZaven Haroutunian氏だ。

Joseph Piepiora氏(左)とZaven Haroutunian氏(右)

――前作から長い年月を経ての新作となりますが、これまでの伝統的な要素と新しい要素のバランスをどのように意識しましたか?

Piepiora氏:「ディアブロ」というタイトルを開発するうえで、過去作が築いてきたものは必ず考える必要があります。「ディアブロ IV」ではオープンワールドという要素を軸に据えていますが、過去作で好評だった部分をどのようにオープンワールドに落とし込むのかがポイントとなりました。

例えば「ディアブロ II」では自分だけのビルドを組み立てていく幅広いカスタマイズ性が人気でしたし、「ディアブロ III」ではアクションの爽快感や、敵を倒すときの手ごたえの部分で大きな反響を得られました。「ディアブロ IV」では、この2つを合わせたうえで、オープンワールドに適応させることを主軸に考えています。

Haroutunian氏:本作はほかのプレイヤーと同じ空間を共有するシェアワールドになっているので、この要素がどのような体験をもたらすかも意識しました。同じようなシステムは昨今では珍しくありませんが、ではこの要素を「ディアブロ」の世界観に付け加えた場合、「ディアブロ IV」というゲームはどのようにあるべきなのか、というのが一番のコンセプトです。

――「ディアブロ」は長期にわたって展開されているシリーズですが、新しいユーザーをつかむためにどのような施策を行っていますか?

Piepiora氏:前作の「ディアブロIII」は、多くの新規ユーザーを獲得した作品でした。アクションや戦闘面の評価がよく、とっつきやすかった、楽しかったという感想を頂いています。ですので、前作で評価が高かった点をさらに磨き上げ、新規ユーザーが少し戦っただけで楽しさを感じられるようなコンバットシステムを作り上げることを意識しました。また、この手のゲームをまったくプレイしたことがないプレイヤーでも、少し遊べば全体的なプレイの流れがわかるような、わかりやすさも重視しています。

もう一つ、オープンワールドという環境で、プレイヤーがどのようにストーリーを展開していくかという点にも気を使っています。ただ単に、ゲームに登場するいちキャラクターを操作しているという感覚ではなく、まさに自分がこの世界に入り込んだかのような没入感を得られることを目指しています。

――「ディアブロ イモータル」では、特定のダンジョンには2人以上でないと参加できないコンテンツがありましたが、本作にそういった要素はありますか?

Piepiora氏:「ディアブロ IV」はストーリーを重視したゲームとなっているため、ほぼすべてのコンテンツをソロで楽しめるようにしました。特にキャンペーンなどの物語上の重要な場面では完全にプライベートな設定になるため、自分だけ、もしくは協力プレイ中の友達とだけで遊ぶことができます。

ただし、ゾーンイベントやワールドボスといった大掛かりなイベントに関しては、複数のプレイヤーで挑むことが前提の難易度となっています。

――「ディアブロ IV」ではメインの敵としてリリスが登場しますが、彼女が抜擢された理由を教えてください。

Haroutunian氏:これはリリスが選ばれたというより、描きたかったものから逆算して必然的に出てきた、というほうが正しいですね。今回描きたかったのは、サンクチュアリという人間の世界です。どうやってサンクチュアリを描くべきかを考えた際に、サンクチュアリを作った悪魔のリリスと天使のイナリウスの2名がうってつけだったのです。

Piepiora氏:「ディアブロ IV」では、サンクチュアリに住んでいる人々にスポットを当てたかったのです。「ディアブロ」の世界は、まず天国と地獄があって、そのはざまにある世界として、サンクチュアリが作られました。サンクチュアリは、天国と地獄との絶妙なバランスで保たれていて、両方の世界から絶えず圧がかかっています。そんな世界に住む人々が、どのような生活・人生を送っているのかをオープンワールドとして描きたかったのです。となれば、やはり創造主であるリリスを登場させるのが、もっとも適切ではないかと考えました。

――前作から数十年経っているとのことですが、本作までの間に起こった出来事などをゲーム内で知る手段はありますか?

Haroutunian氏:「ディアブロIII」で登場したケヒスタンという砂漠の地域があるのですが、実は「ディアブロ IV」でも訪れることになります。ほかにも以前登場した地域がありますので、そういった場所がどのように変化しているのかを見ることで、この数十年に起こったできごとを感じることができるでしょう。特に前作のプレイヤーは見覚えのある場所もあると思うので、懐かしさを感じられるのではないでしょうか。

――「ディアブロ IV」のエンドコンテンツには、どのようなものはありますか?

Haroutunian氏:今のところ、3つのエンドコンテンツを考えています。1つは“Whisper of Dead”というもので、各地に登場するアクティビティをこなすことで報酬を得られるもの。

2つめは“Nightmare Dungeons”と呼ばれるものです。特定のアイテムを集めることで、このダンジョンにアクセスしたり、ダンジョンの難易度をアップグレードしたりできます。難易度を上げれば手に入るアイテムの等級も上がっていく仕組みです。

最後は“Helltide”というもので、簡単にいうと特定のエリアの難易度が向上するワールドイベントです。発生すると敵の強さが上がりますが、そのぶん見返りも大きい、ハイリスクハイリターンなゲームプレイが楽しめます。

――UIや操作回りの開発について、意識した点はありますか?

Haroutunian氏:「ディアブロ」は元来キーボード&マウスでプレイするゲームでしたが、今回は最初からコントローラーでもプレイすることを念頭に入れて開発しています。また、UX(※ユーザーエクスペリエンス/ユーザーの体験)としては、要素の説明を重視しています。例えば項目にカーソルを合わせた際に説明文が出るのですが、その文章の書き方や、キーワードの伝わりやすさに気を使っています。

加えて今回はクロスプログレッションに対応しているので、PCからコンソールへ、もしくはその逆のようにプラットフォームを変えてプレイする人もいるでしょう。コントローラーを最初からサポートすることで、プラットフォームを変更した際に感じる操作の違和感を極力減らせるように制作しています。

――「ディアブロ イモータル」で、右スティックを使用したスキルエイムが便利だったのですが、本作ではコントローラーの右スティックで、スキルエイムはできないのでしょうか?

Piepiora氏:現状ではできません。タッチ操作とは異なり、コントローラーでは多くのボタンを使うため、右手でボタンを押しながらスティックも操作するのは難しいということで避けました。その代わり、左スティック押し込みで敵をターゲットするシステムを導入予定です。ターゲットした敵に対してスキルを当てられるようになるため、似たようなプレイ感を実現できるかと思います。

――敵のレベルスケールはどのように変化するのでしょうか?

Piepiora氏:ほかのプレイヤーも存在しているシェアワールドということで、レベルスケールの方法は大きな問題でした。大雑把な例えですが、レベル5のプレイヤーがプレイしているエリアにレベル45のプレイヤーが入ってきたとたん、敵のレベルが45に合わせられると問題ですし、逆にレベル45のプレイヤーが通り過ぎただけで、そのエリアの敵をすべて倒し切ってしまってもいけません。

結論から言えば、内部的にはプレイヤーのレベルに応じてエリアの敵のレベルも上がりますが、与えるダメージをパーセンテージで変化させることにしました。先の例でいえば、レベル5のプレイヤーが遊んでいるエリアにレベル45のプレイヤーが入れば、敵も(内部の数値的には)レベル45相当になります。しかし、同じ敵を相手にしていても、レベル5のプレイヤーに与えるダメージと、レベル45のプレイヤーに与えるダメージはパーセンテージで縛られているため、目に見えるダメージの割合は同程度になります。

――前作では、一部のアイテムを除けば敵が落とすアイテムはほぼランダムだったと思います。「ディアブロ IV」では、敵やエリア、コンテンツの違いによって落とすアイテムが変わるのでしょうか?

Piepiora氏:これまでのような完全ランダムのルートテーブルはありますが、その上にもう少し細かいモンスター専用のテーブルを構築しました。例えばゾンビ系のモンスターからは宝石がよく落ちたり、吸血鬼系のモンスターは別のアイテムをよく落としたりというように、敵の種族によって振り分けられています。

したがって、この仕組みを理解しておくと、特定のアイテムを集めたい場合に役立つでしょう。どの地域にどんな敵がいるのか、どんな植物が生えているのかといった知識を蓄積することで、より効率よくアイテムを集めることができるはずです。

――ダンジョン内でとても強いブッチャーと遭遇したのですが、テスト版のイースターエッグのようなものですか?

Haroutunian氏:イースターエッグといえばそうかもしれませんが、テスト版だけのものではありません。ブッチャーはシリーズ皆勤賞の敵ですので、今作でも出していきたいと思います。

「ディアブロ III」では、逃げながらお金やアイテムを落としてくれるトレジャーゴブリンという敵がいました。本作にもトレジャーゴブリンは登場するのですが、ブッチャーもトレジャーゴブリンの一種だと思って頂いて構いません。

ただし、トレジャーゴブリンはプレイヤーから逃げますが、ブッチャーはプレイヤーを殺しにかかってきます。反撃してくるトレジャーゴブリンがいても面白いのではと思い、ブッチャーをこのような役割で登場させました。ブッチャーはダンジョンの中でランダムで出現する可能性があり、ブッチャーを倒すかブッチャーに倒されるかしか切り抜ける手段はありません。

――「ディアブロ IV」は運営型のタイトルになるとのことですが、エンディング後のストーリー追加や新エリアの追加、時限式のイベントなどは予定されているのでしょうか?

Piepiora氏:まだ詳しくは話せませんが、本作でもシーズン制を採用する予定です。年に3~4シーズンを予定しており、シーズンごとのコンテンツでは、新規キャラクターの追加や、過去作のキャラクターの再登場、マップの拡大なども考えています。開発側としてもシーズンの節目は重要なポイントですし、「ディアブロ」の伝統でもあるので、期待していただければと思います。

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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