MMO戦略ゲーム「ムーンライズ・領主の帰還」をレビュー。同作は戦略ゲームでは珍しく、バトルシステムにマッチ3パズルを採用しており、育成×パズルがもたらす中毒性の高さが魅力となっている。
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「ムーンライズ・領主の帰還」は、StarUnionからリリースされたスマートフォン向けMMO戦略ゲーム。現代吸血鬼ファンタジーをモチーフにしており、ヴァンパイア、獣人、ウィザード、ハンター、デモンスというゴシックホラー的なキャラクターたちが活躍する。基本的なゲームの流れは、一般的なMMO戦略ゲームのものを踏襲。資源を消費し自国内の施設を強化、軍隊を編成してさらなる資源と力の獲得を目指す…というものだが、バトルシステムがマッチ3パズルとなっているのが特徴だ。一見、戦略ゲームとマッチ3パズルでは全然楽しさの方向性が異なるように思うものの、プレイしてみると思わずハマってしまった。一体どこにそんな魅力があるのか?このレビューで詳しく紹介したい。
領主としてヴァンパイアたちを導き墜落者者と戦うMMO戦略ゲーム
本作の舞台では、ヴァンパイアや獣人といった5つの種族が平和に暮らしていた世界。しかしその平和は隕石とともに現れた「墜落者」によって壊されてしまう。こうした状況に対し、5つの種族を導く領主として「墜落者」と戦いつつ、自分たちの勢力を伸ばしていくことがプレイヤーの目的だ。
先ほど触れたとおり、基本的なゲームの流れは一般的なMMO戦略ゲームのものを踏襲している。資源を使って自国内に様々な施設を建設。施設から得られる資源を使ってさらなる施設を建設しつつ、同時に軍隊も訓練し戦力を高めていく。
「MMO」戦略ゲームなのでマルチプレイが前提となるワールドマップも存在。協力できそうなプレイヤーとは同盟を組みつつ、敵対プレイヤーと戦っていくことになる。
本作のバトルシステムにはマッチ3パズルが採用されているが、ワールドマップでのバトルはMMO戦略ゲームで一般的なフルオートバトル形式。派遣するユニットの編成とターゲットの選択を行ったら、後は勝敗結果の報告を待つだけとなっている。MMO戦略ゲームは、それぞれのプレイヤーが好きな時間にプレイすることが前提になるので、公平性の面でこれは当然の判断だろう。
ちなみに、ゲーム当初からワールドマップが解放されているわけではなく、ある程度ゲームが進むまではソロプレイが前提。ソロプレイでは、「墜落者」に占領された自国内の領域を取り戻していくことになる。チュートリアル的な役目も担っているが、決してチュートリアルだけが目的というわけではない。取り戻した施設の強化と、マッチ3パズル形式のバトルを通じてソロプレイならではの楽しさを体験されてくれる。これは同時に、本作ならではの楽しさともいえるだろう。
同じ色のチェス3つ以上でマッチング!攻撃とスキルで敵とバトル
ソロプレイで導入されているマッチ3パズル形式のバトルでは、すべての敵のHPをゼロにすることが目的。逆に、味方パーティー全員のHPがゼロになると敗北してしまう。
プレイヤーは「チェス」と呼ばれるパネルを動かし、マッチングすることで敵を攻撃できる。「チェス」はフリック操作によってタテヨコどちらかに1マス分移動可能。同じ色の「チェス」をタテヨコ方向に3つ以上つなげると、マッチング成立。敵への攻撃が行われる。攻撃は「チェス」の場所から上方向に対してショットが放たれるというかたちで、ショットが敵にヒットしなければダメージを与えられない。また、仮にヒットしたとしても敵との相性が悪い属性だとダメージが軽減されてしまう。いかに有利属性の攻撃を敵にヒットさせるかというのがポイントになる。
では、敵が存在しない場所の「チェス」を消すことに意味がないかというと、そうではない。「チェス」をマッチングによって消すことで盤面の状況を変えることができるため、「チェス」が揃いにくい盤面を変えるため、時には敵が存在しない場所の「チェス」をマッチングすることも必要だろう。場合によってはそれで偶然の連鎖が発生することもある。連鎖が発生するとダメージ倍率がアップしていくので、場合によっては偶然の連鎖から発生した一撃で敵を倒せるといったこともないわけではない。
また、たとえ敵に攻撃がヒットしなかったとしても、「チェス」をマッチすることで「チェス」の色と同じ属性を持つパーティーメンバーのスキルゲージが上昇。ゲージが満タンになると各メンバー固有のスキルが発動可能。スキルは単純に威力が高いだけでなく、スキルによっては敵キャラクターを指定して攻撃が行えるため、盤面の状況に左右されることがない。
どの場所にある、どの色の「チェス」をマッチングするか?いかに連鎖を繋ぐか?どうやってスキルを繰り出すか?…こうしたことを踏まえて行うマッチングは奥深く、とても面白い。それだけに、筆者はバトルだけプレイしたいなどと思ってしまったくらいだ。そしてなんと、本作はこの「バトルだけプレイしたい」という要望にも応えてくれる。「探索」という、バトルを連続でプレイしてステージを進めていくモードが用意されているのだ。
また、マッチ3パズル形式のバトルはソロプレイで導入されていると書いたが、ソロだけに限定されているわけではない。「英雄対決」というコンテンツでは、他プレイヤーのパーティーに対してマッチ3パズル形式のバトルで挑むことができる。リアルタイム対戦ではなく、あくまで他プレイヤーのパーティーのパラメーターに基づく敵と戦うというスタイルだが、それでも画面の向こうにいる他プレイヤーと競争している感覚は体験することが可能だ。
育成とパズルの噛み合あわせが呼ぶ中毒性! セクシーなキャラクターも魅力
ここまで本作の持つ戦略ゲーム要素とマッチ3パズル要素を個別に紹介してきたが、ではそれらが組み合わされることで何が楽しいのか?その答えはズバリ、中毒性。では一体何が中毒性をもたらしているのかというと、「時間的な嚙み合わせ」だと思う。
本作の持つ戦略ゲーム部分は、ほんのちょっとのスキマ時間でも楽しめるよう設計されている。1~2分程度の時間があれば、建設の指示を行ったりワールドマップでの進軍の指示を行ったり…といったことが可能。
一方で本作のマッチ3パズル要素は、数分集中して楽しむモード。このため、マッチ3パズルをある程度プレイした時、ふと気づけば建設やワールドマップでのバトルが完了している。そうすると、じゃあまた建設の指示や進軍の指示を行うか…となり、また結果を待つためにマッチ3パズルを…とズルズルプレイしてしまう。これが本作の持つ中毒性だ。
もちろん、そんなにまとまった時間が取れないときは戦略ゲーム部分だけ、暇をつぶしたいときはマッチ3パズルだけという使い分けも可能。そして、当然ながら戦略ゲーム部分とマッチ3パズルはリンクしている。戦略ゲームの結果、マッチ3パズルでパーティーメンバーとなるキャラクター育成用の素材アイテムが獲得できるし、マッチ3パズルの結果、施設を建設するための資源が獲得可能。このため戦略ゲームとマッチ3パズルのどちらかだけをプレイした場合でも、ゲームを進めた感覚が得られる。だからなおさら、ついついプレイしてしまうのだ。
また、個人的にはキャラクターたちも魅力的に感じた。日本のアニメ的なタッチではなく、海外的なリアル指向のイラストだが、ヴァンパイアや獣人、サキュバスといった女性キャラクターたちがセクシーな魅力満載に描かれている。とりわけ序盤に登場するヴァンパイアのセリーナや、サキュバスボス、メル、アニーは魅力的。セクシーかつダークに人間を虜にするような、妖艶な魅力を持っている。ダークでセクシー、妖艶な世界観に魅力を感じる人なら、是非一度はプレイしてみてほしい。ただ、中毒性が高いのでハマりすぎにはご注意を…!