カプコンより好評発売中のニンテンドー3DS用ソフト「逆転裁判123 成歩堂セレクション」。今回は「逆転裁判」シリーズで多くのキャラクターデザインを手がけたイラストレーター・岩元辰郎氏へのインタビューを紹介する。

カプコンより好評発売中のニンテンドー3DS用ソフト「逆転裁判123 成歩堂セレクション」。弁護士“成歩堂 龍一(なるほどう りゅういち)”を主人公とした初期3作品が1本にまとめられており、改めてシリーズの原点を楽しめるタイトルだ。

今回は「逆転裁判」シリーズで多くのキャラクターデザインを手がけたイラストレーター・岩元辰郎氏へのインタビューを紹介。発売から10年以上を経過してもなお高い人気を誇る本作の、今だから話せる裏話や開発当時の思い出までたっぷりとお話しいただいた。

「逆転裁判」と共に歩んだカプコン時代

――これまでの経歴と、現在の活動について教えてください。

岩元氏:「逆転裁判」が制作される1年ほど前にカプコンへ入社しました。短期間のプロジェクトをいくつか手伝ったこともりますけど、カプコン在籍中はほとんど「逆転裁判」に関わっていましたね。その後クローバースタジオに移ってからは「大神」のキャラクターモーションを手がけ、そこからフリーのイラストレーターとして活動しています。

学生の頃から歴史関係の仕事をしたいなと思っていたので、フリーになってからは歴史のイラストを描いてます。勉強しながらデザインしているような感じで、とても楽しいですね。他にもスマートフォン向けゲームとか、いわゆる乙女ゲームのキャラクターデザインなども担当させてもらいました。

――「逆転裁判」シリーズに携わることになったきっかけは?

岩元氏:僕はもとも絵を描くのが好きだったので、2Dの仕事がしたいと思っていたんです。ただカプコンで配属になった部署は「バイオハザード」を作っていたので、主な仕事が3Dだったんです。それでも2Dの絵を描く仕事がしたいと主張していたので、たぶん上司たちも相当困ったと思います(笑)。

その時、たまたま「逆転裁判」ディレクターである巧さんの大きなプロジェクトが終わったところで、ゲームボーイアドバンス向けに小規模な開発チームで新しいタイトルを作ろうという話が動いていたんです。そんな経緯があって、たまたま主張していたワガママが通ってチームに入れたんです。結果からすると運が良かったんだと思います。

――「逆転裁判」でご担当された部分を教えてください。

岩元氏:「逆転裁判」ではサブデザイナーとして裁判長や狩魔豪、その他犯人キャラクターといった主要キャラ以外のデザインをしています。キャラクターをドットに落とし込んでアニメーションのタイミングをつけるなど、グラフィック全般のサブもやっていました。

「逆転裁判2」「逆転裁判3」ではメインデザイナーとなったので、キャラクターデザイン全般を担当しました。ドット関係の作業は別の方にお願いしましたけど、最終チェックは行ってましたね。アニメーションも最後のチェックは僕が行っていました。

「逆転裁判」での主要なキャラクターは当時のメインデザイナーが担当しているので、「逆転裁判2」以降ではそれを引き継いだという形です。先輩がデザインしたキャラクターを描くときは単純な似顔絵になってもだめですから、そのキャラクターを理解して考えるようにしています。

例えばなるほどくんを描く場合に気をつけているのは、もちろん外見の細かい約束事もですが、それよりも大前提として「根拠のない自信」が溢れるように気持ちをこめています。僕が出来上がりをみて「根拠のない自信が出たぞ!」と思えるまでは、ずっと描き直していますね。他のキャラクターも「これが描いてあればいい」というのではなく、言葉ではうまく説明できないのですが「こうなれ!」みたいな思いをぐっと入れこんでます。

お気に入りはゴドー検事!魅力的なキャラクターが生まれるまで

――初となるキャラクターデザインで苦労された部分は?

岩元氏:僕はゲームの専門学校にいっていたわけでもなく、美術の大学に通っていたんです。勉強していたのもグラフィックデザインという部分なので「ゲームでどんなことをするか」が全然分かっていなかった。もちろん未熟ながら人物のデザインや漫画の真似事みたいなことは好きで、たくさん描いていたので「人物を描くことは得意だぞ」くらいには思っていたんですが「キャラクター」というのは全く分かっていない状態でした。

そんな中で、なんとなく描いたものを巧さんに「主人公案ですがどうでしょう?」と見せて「主人公だぞ?!」と声を荒げて驚かれたこともあります。どんなものかは覚えてないですけど、全然主人公っぽくない落書きを見せたんだと思うんですよね。「ゲームのデザイン」を考え出すところからだったので、僕自身の苦労というより周りに迷惑をかけたなと。

――どのような経緯でキャラクターが生まれているのでしょうか?

岩元氏:まずはディレクターからプロットがあがってきて、必要なキャラクターというか、大体の人数とか性別が決まります。それから本当に大まかなアイデアとかキャラクター付けが出てくるんですけど、基本的には僕のほうに任せてもらえました。なかなかOKが出ない場合はアドバイスをもらうこともありましたけど、とにかくたくさんラフを描いてピンとくるデザインを見てもらいました。微調整して決めていくこともあり、たまたま一発で決まったこともありますね。

――とくに思い入れのあるキャラクターは誰ですか?

岩元氏:「逆転裁判3」の、ゴドー検事ですね。最初は「仮面の検事を出そう」というところからで、単純に「仮面つけてる奴が出たらカッコイイよね」って話が出てたんです。そんなわけで顔にすごいの付けてますけど(笑)、とにかく格好いいですよね。

でも単純に特徴をつければ面白いかというと、そうではないんです。例えば一度しか出てこないようなキャラクターならどこまでも味付けしていいんですけど、全体を通して活躍するライバルキャラクターは濃すぎると鬱陶(うっとう)しくなってしまう。味付けが難しい中で「上手くいったな」という手ごたえがあるので、気に入っています。得意なオッサンキャラでもあるので。

ゴドーのようにハードボイルドなキャラクターといえばお酒やタバコですけど、本作ではレーティングの関係もあってその辺りは全く使えなかったんです。そこで生まれたのがコーヒーだったんですが、もしタバコだったら裁判所でのアニメーションはなかったでしょう。大変な部分も多いのですけど、制約があるからこそデザインやゲームが面白くなる場合があるかもしれませんね。

あと「逆転裁判2」の堀田院長は苦労してラフを描いてたんですけど、その中でもオススメではない小さく描いたラクガキに「これでいいじゃん」って言われて決まって。苦労すればいいもんじゃないというのも分かりました(笑)。もちろん主要キャラクターともなれば、すんなりいくことはそうそうありません。メインとなった1本目の「逆転裁判2」では、勢いでいってしまった部分もあり「もっとこうできたら」と色々な反省点も感じていました。「逆転裁判3」はメイン2本目ですので、落ち着いてきちんと考えながら作れたと思います。

――ボツになってしまったキャラクターはいるのでしょうか?

岩元氏:シナリオに沿って作っていくので、基本的に全く使われなかったキャラクターというのはいません。ただ、狩魔豪が孫の話をしているシーンがあるのですけど、冥は娘ですから彼女に兄か姉がいることになりますよね。それで「冥の兄」のラフを勝手に描いてたことがあります。「逆転裁判3」のゴドーのボツラフの中に、僕の中では狩魔の兄として設定したものがあります。ディレクターにも一度話したんですが聞き流されちゃいました(笑)。

音声収録はダンボールの上――改めて開発当時を振り返る

――発売当時の思い出を教えてください。

岩元氏:当時はまだゲームボーイアドバンスが世の中に出ていませんでしたし、開発機材もあまり揃っていなかったので手作り感満載でしたね。「逆転裁判」の音声録音も、カプコン社内で人が来ないような場所の一番奥でダンボールの上にマイクを置いて録ったんです。

ゲーム中に収録しているキャラクターのボイスは、まず効果音の担当者がほぼスタッフ全員の声を録ったんです。「異義あり!」だけではなく、例えば「有罪」「無罪」などゲーム内でキーワードになりそうなものも何種類か録りました。誰がどの声というのが事前に決まっていたわけではないので、配役は効果音の担当者とディレクターが話し合いで決めたんだと思います。ただなるほどくんはディレクター自身が決めたんじゃないかな(笑)。

喋っている声ではなく叫んでいるような感じですから、本来の声とはずいぶん違いますね。僕自身もあとで御剣の声を聞いても「誰の声だろう?」という感じでしたし、別のスタッフだと思ったくらいです。決まったときは嬉しかったですけど、あまりピンとこなくて実感はなかったですね。僕の親にも違うって言われました(笑)。

――音声はゲーム中のいいアクセントになっていますね。

岩元氏:ディレクターがそういったゲームのリズム付けですとか、BGMを止めたところで「異義あり」の声を流すとか、テンポが上手いんですよね。音声を入れようというアイデアを、ものすごく上手に活かしていたと思います。

――「逆転裁判123 成歩堂セレクション」で、改めてキャラクターを描いてみていかがでしたか?

岩元氏:当時の絵を再現するのが一番大事ですし、僕の中での「このキャラはこうしなきゃ!」という決まりごとにはこだわってます。「逆転裁判」はドット絵だったので、ユーザーの目で補完していただく部分もあったんですけど、イラストとなるとそんな補完はありません。当時のパブリシティイラストでは「ドットのほうがいいかな」と、自分の未熟さを痛感することもありました。そのため新たにイラストを描くときは、ドットが補完されたような一番良い状態になるようにと気をつけています。

――スタッフの方からは「御剣カッコよすぎ!」「真宵ちゃん可愛すぎ!」みたいな声も出たそうですが。

岩元氏:当時は未熟だからやってしまっていた部分を再現しなくてはいけませんから、ずいぶん意識したんです。どうやって以前の状態に近づけるか、非常に考えましたよ。ハミちゃんみたいな可愛い女の子も、当時は全く描いたことがなくて苦労しました。真宵ちゃんもただ「可愛い」ではなく、なるほどくんを引っ張ってくれる「元気のよさ」みたいなのが先にあって「可愛い」は後から添える感じなんですよね。ただ発売当時はオッサンキャラ以外は苦手って感じだったのですけど、もうそんなことはないぞって部分は見てほしいです(笑)。

――高解像度になり、立体視に対応した「逆転裁判123 成歩堂セレクション」を見ての感想はいかがですか?

岩元氏:10年以上前の作品ですので、正直なところ自分の未熟さもそのまま出ているので非常に気恥ずかしいです。とはいえ1作品だけではなく3作品収録されていますから、その中での成長も感じてもらえればなと。せっかく解像度も上がっているので、どうせなら画面の大きい3DSLLで遊んでほしいですけど…やっぱり恥ずかしいですね。もう20年くらい経ったら、やっと「あの頃は良かったな」と振り返れるかもしれません(笑)。

――ちなみに「逆転裁判」シリーズでは舞台化や映画化なども多数行われましたが、ご覧になっていかがでしたか?

岩元氏:どの作品も、とてもこだわりを持って再現してくれてるなと感じました。小規模なタイトルでしたので、東京ゲームショウとか出展することもなかったんですよ。そんな昔を思えば、舞台とか映画にしてくださるなんて冷静に見てられません(笑)。

キャラクターをすごく理解しようとしてくださっていて、結果としてとてもいい作品になっている。どんどん展開していくのを見て、ただただ嬉しいですし、頑張ったご褒美だと思って見ている感じです。

――ご自身にとって「逆転裁判」とは?

岩元氏:僕にとって「逆転裁判」と出会えたのはすごく幸運な出来事ですし、恩のある作品として愛着も感じています。ただ育ち方が僕の想像以上でしたので、これからは「逆転裁判」を超えるようなものを作りたいと考えていくのかな。今後の僕にとっては、一生かけて追い抜けたらいいライバルような存在ですね。

――最後にファンの方へメッセージをお願いします。

岩元氏:3作品がまとまっているので、初めて触れる方にはとても遊びやすいと思います。以前にも遊んだけれど今回も買うっていう熱心なファンの方には、僕や他のスタッフも含めて成長や苦労した部分を感じてほしいですね。ビジュアルが一緒というだけではない触り心地になっていますので、この世界が好きな方はもちろん「逆転裁判って何だろう?」という方にもぜひ遊んでみてほしいです。

――ありがとうございました。

現在発売中「まちがいさがしキング 6月号」に掲載の、岩元氏描き下し「逆転裁判123 成歩堂セレクション」イラストも要チェック!
https://book.mynavi.jp/ec/products/detail/id=24998

逆転裁判123 成歩堂セレクション

カプコン

3DSパッケージ

  • 発売日:2014年4月17日
  • 価格:3,990円(税抜)
  • 12歳以上対象
逆転裁判123 成歩堂セレクション

逆転裁判123 成歩堂セレクション 限定版

カプコン

3DSパッケージ

  • 発売日:2014年4月17日
  • 価格:4,990円(税抜)
  • 12歳以上対象
逆転裁判123 成歩堂セレクション 限定版

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※画面は開発中のものです。

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この記事のゲーム情報

逆転裁判3

法廷バトル
機種
WiiU3DSGBAPCMobile
プラットフォーム
パッケージダウンロード
会社
カプコン
シリーズ
逆転裁判
ジャンル
アドベンチャー
テーマ
推理
公式サイト
http://www.capcom.co.jp/gyakutensaiban/123/
Gamer10周年大プレゼント祭
  • セガ特集ページ
  • プリコネR特集
  • セール情報
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